法人向けの、しかも契約書という機密性と厳密性が必要とされる分野にも、ChatGPTの波がやってきた。
契約書レビューAIサービス「LegalForce」を提供するLegalOn Technologiesは4月4日、大規模言語モデル(LLM)のAIが契約書の修正文案を提案する新機能を開発したと発表した。5月中をめどに、希望する顧客に向けて提供を始める。
LegalForceを使い契約書をレビューし、要修正の条文があった際に、LLMのAIが修正後の条文を生成し、候補を表示する。これまでは弁護士が監修したサンプル文を元に、ユーザーが自分で条文を作成する必要があった。
同社の米国子会社の開発チームが、2022年末ころLLMの実装を提案。国内のチームも実証実験を進めるなかで、製品への実装を決めた。「内容の正確性がある文章の生成は一定のハードルがあるが、一定実用にたえるようなアウトプットを出せると判断した」(角田望CEO)
具体的には、Microsoftが提供するAzure OpenAI ServiceのGPT-3.5 turbo APIを利用した。OpenAIが提供するAPIを使わなかったのは利用規約の問題だ。ChatGPTは利用時にユーザーが送信したデータが学習に使われてしまうという課題がある。企業の機密情報などが学習されてしまうことで、漏洩につながるなどのセキュリティ上の問題が指摘されている。
Azure OpenAI Serviceではユーザーのデータは学習に使われず、セキュリティが保たれる。OpenAIのAPIも、3月1日の改定で学習に利用されないことが明示されたが、詳細は異なる。
「両APIとも、送信したデータを一時的に保管するが、Azureは用途が有害コンテンツ生成のチェック(abuse monitoring)のみとなっている。申請することでオプトアウトも可能だ。契約実務を取り扱う関係上、些細なところにも注意した」(CTOの深川真一郎氏)
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