このように個人レベルで見ると、大きく分けて4つの方法でメンタルウェルビーイングの低下を軽減していることが分かった。他方で、「ストレスがあるときは、だいたい一緒にストレスを感じていた」という回答から分かるように、チームレベルでもメンタルウェルビーイングの低下を示唆した。チームレベルでの対策の調査は今後の課題としている。
さらに、個人レベルやチームレベルだけでなく、組織レベルでメンタルウェルビーイングの低下が現れることも示唆した。
企業の中には、従業員のメンタルウェルビーイングの低下を対策する取り組みが行われている。例えば、有給休暇の増加や経済的支援、柔軟な勤務スケジュール、ウェアラブル心拍モニターを使用したストレス計測、メンタルウェルビーイングを管理するモバイルアプリなどが含まれる。
しかし、組織の努力にかかわらず、今回の調査において参加者はこれらの対策が不十分であり、役に立っていないと感じていることが分かった。会社からのアナウンスやコミュニケーションが不足しているという理由から、そもそもメンタルウェルビーイングをサポートしているかどうかよく知らない参加者がいた。
一方で、会社の対策についてよく知っている参加者の中には、休暇を増やしたいが「有給を取っても、戻った後にまだ仕事が残っていて追い付くのがストレス」と、メンタルウェルビーイングのための休暇を使うことにためらいを感じていた。
別の参加者は「リラックスしたいときに、1番やりたくないことは、コンピュータやスマートフォンでさらに別のことをすること」「私は技術屋で、技術屋として働いている。だから、自由時間には、技術から離れるようにしている」とコメント。メンタルウェルビーイングの管理アプリを仕事以外の時間に操作することに負担を感じていることが分かった。
では、どんな対策が必要かという質問に対して、次のような提案が上がった。例えば、従業員が使うツール(例えばPCなど)を各従業員が使いやすいものに変えることができる環境が考えられるという。
また、同僚たちが同じ場所にいるだけで助けになるソーシャルサポートがリモートワーク環境では不足している。そのため、ストレスがかからない良い距離感で関係性を築けるテクノロジーツールが望まれていると分かった。機械学習技術で声を分析するだけで落ち込んでることが予測できるツールも挙がった。
Source and Image Credits: Novia Wong, Victoria Jackson, Andre Van Der Hoek, Iftekhar Ahmed, Stephen M. Schueller, and Madhu Reddy. 2023. Mental Wellbeing at Work: Perspectives of Software Engineers. In Proceedings of the 2023 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems(CHI '23). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 858, 1-15. https://doi.org/10.1145/3544548.3581528
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