不動産デジタル証券は、現物不動産ともJ-REITとも異なる投資商品として注目される。不動産投資の手法は複数種類あるが、下記の利点をすべて満たすのが不動産デジタル証券だ。
特にトークンであることから技術的には権利移転が容易で、流通させやすいのが不動産デジタル証券の特徴だ。6月にはデジタル証券の取引所を運営する大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)も稼働する予定で、デジタル証券の流動性が大きく増加することが見込まれる。
ただしALTERNAはODXのような二次流通市場への参加には慎重だ。「価格が市場で決まると、流動性は上がるが、価格の安定性がなくなる。上場コストもかかる。現状、ODXに接続することは想定していないが、今後は投資家の希望次第だ」と、三井物産デジタル・アセットマネジメントの丸野宏之氏は言う。
同社はREITに対する不動産デジタル証券の利点を、鑑定評価ベースで価格変動が小さいことにあると見ており、市場で取引されると価格が乱高下することをデメリットと考えている。
「利回りに着目した不動産やインフラへの投資は、株よりも収益性が安定している。構造やリスクが比較的シンプルで分かりやすい。こうしたオルタナティブ投資は日本人のニーズに合致している」(上野貴司社長)
第1号案件は日本橋のレジデンスで、評価額33億円の物件を10万円に小口化し、利回り3.0%想定で販売する。約50%の資金は借り入れで賄う。
今後は不動産だけでなく、船舶や航空機などの輸送用機器、太陽光・風力といった再生可能エネルギー、データセンター、基地局などのデジタルインフラなどをデジタル証券化し、小口化して販売していく。
また、デット(貸付)性の高い商品も組成していく計画だ。デット型のデジタル証券は預金に近い商品という位置づけで、コンマ数%から1%程度の利回りをイメージしている。
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