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電気代1万円まで無料の「タダ電」は商売になるのか? 運営会社に聞いた(1/3 ページ)

» 2023年05月30日 18時22分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 電力小売事業を手がけるエスエナジー(東京都港区)は5月29日、毎月の電気代が1万円まで無料になるというサービス「タダ電」を発表した。どのような仕組みなのか、運営会社に聞いた。

「タダ電」のサービス公式サイト

 タダ電は「加入すると自宅の電気代が毎月1万円までタダ(無料)になる」とうたう家庭向けの電力プラン。1万円以降は利用量に応じて支払いが発生する。1万円に満たない場合は支払う必要がないという。

 基本料や切り替え時の工事費、手数料は不要。専用アプリ(現在はiOSのみ)をダウンロードし、必要事項を記入するだけで申し込みが行える。解約についても「期限に制限があったり、解約時に手数料が発生したりもしません」としている。

1万円分は規制プランより少ない

 約款を見る限り、2021年に大騒ぎとなった「市場連動型プラン」ではない。単価は1kWhあたり65円で、これに1kWhあたり7.91円の燃料費調整額や1.4円の再エネ賦課金が上乗せされるかたち。燃料費調整額の算出方法は東京ガスやENEOSでんきと同じだという。

「タダ電」の電気料金単価(約款より)
東京電力「従量電灯B」の電気料金単価(参考)

 一方、6月以降は東電の規制プランは単価30〜40円(使用量によって上昇)。燃料費調整額、再エネ賦課金は別だ。

 単価が異なるため、タダ電で無料になる1万円分の電気は規制プランより少ない。単純計算で154kWhあたりを境に料金が発生することになり、以降は規制プランより速いペースで料金が上がっていく。

 それでも毎月1万円引きのインパクトは大きい。一体どのようなビジネスモデルなのか。メールで取材した。

【訂正:2023年5月31日11時40分更新 ※初掲載時、単純計算で134kWhと記述しておりましたが、154kWhに修正しました。エスエナジーによると154kWhに満たない場合、燃料費調整額(7.91円/kWh)は請求せず、再エネ賦課金(1.4円/kWh)もエスエナジーが負担するため「154kWhまでであれば完全に0円でご利用いただける」とのことです】

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