イラスト投稿サイト「pixiv」を運営するピクシブは5月31日、同社が運営するサービスの利用規約を改定した。(1)pixivなどに投稿された作品をAIなどに学習させる、(2)投稿者の不利益となる──この2つの条件を満たす行為を禁止。「AI技術の急速な発展によって発生している問題への対処」(同社)が目的という。
同社サービス共通の規約に存在する、禁止行為の項目に下記の文言を追加した。
4.本サービスまたは個別サービスに投稿等されている投稿情報を情報解析(人工知能を開発するための学習行為を含みます。以下同じ。)した結果を用いた行為であって、当該投稿情報を投稿等したユーザーの利益を害すると当社が判断する行為。ただし、当該情報解析につき投稿情報を投稿等したユーザーの許諾を得た場合はこの限りではありません。
例えば、投稿者の許可を得ずに作品をAIで学習し、著しく似た作品か作風を再現することで、投稿者に不利益が発生した場合、禁止行為と見なす。同社は「pixivや関連サービスに投稿されているものを学習し、その投稿者の不利益となる行為を禁止行為として明記した」としている。
他にも、第三者のイラスト作品や音声などを許可なく利用し、似た作品を投稿し続ける行為や、それを助長するツール、モデルの配布・販売も禁止行為に指定した。同社は「クリエイターのアイデンティティーの一つである作風をpixivおよびその関連サービスにおいて他人が継続的に模倣することは、そのクリエイターの活動を脅かすことにつながる恐れが大きいと判断した」としている。
pixivのみを対象とするガイドラインも一部改訂。AIを使ったなりすましにつながる行為や、実写の写真でなくとも、写真と誤認する可能性のある性的な作品の投稿などを新たに禁止した。
ピクシブは今後もAI技術に限らず、社会の変化に合わせて利用規約などを改定する方針。「pixivでは、ユーザーの創造的活動や表現のための努力が脅かされたり、また一方で未来の可能性が狭められたり、日常的な活動や体験が制限されることのないよう、法律や技術、社会的な制約、また心情を踏まえつつ引き続きAI技術に向きあっていく」(同社)
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