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文化庁の「AIと著作権」の解釈が話題に AIに詳しい弁護士「かなり踏み込んだ内容」(1/2 ページ)

» 2023年06月05日 15時10分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 内閣府が公開している資料「AIと著作権の関係等について」がTwitterで話題になっている。文化庁が制作した資料で、5月15日に開催した内閣府のAI戦略チームの会議で使用されたもので、AIと著作権に関する現行法での見解などをまとめている。6月3日頃からTwitter上で話題になっており、AIに詳しい弁護士も「かなり踏み込んだ内容」と見解を述べている。

「AIと著作権の関係等について」

 同資料では、著作権の役割は「『思想又は感情を創作的に表現した』著作物を保護するもの」と指摘。データ(事実)やアイデア(作風や画風)は著作物に含まれないという。

 この上で、AIと著作権の関係は「生成・利用段階」と「AI開発・学習段階」を分けて考えるべきと説明している。AIが生成した画像などを公開したり、そのイラスト集を販売したりする場合は、通常の著作権侵害と同様の法が適当される。AI画像と既存の著作物との類似性や依拠性(既存の著作物を基に創作したこと)が認められれば、著作権者は著作権侵害として損害賠償請求や差止請求が可能であり、刑事罰の対象にもなるという。

 一方、AI開発などで他人の著作物を利用する場合、「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為」は著作権者の許諾なく利用できる。例えば、3DCG映像を作るために風景写真から必要な情報を抽出する際、元写真の「表現上の本質的な特徴」を感じ取れる映像作成が目的ならば、利用できないという。

 しかし、必要と認められる限度を超える場合や、著作権者の利益を不当に害する場合は、この規定の対象とはならないとしている。

文化庁ではオンラインセミナー「AIと著作権」を6月19日に開催予定
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