米Googleは8月8日(現地時間)、米American Airline(アメリカン航空)とビル・ゲイツ氏の気候変動投資ファンドBreakthrough Energyとの提携により、AI採用の飛行機雲予測マップを開発したと発表した。地球温暖化に大きな影響を及ぼすとされる飛行機雲の発生をパイロットが回避する飛行ルートを選択できるようにするのが目的だ。
飛行機雲は、飛行機が湿気の高い層を飛行すると形成される。大気の状態によっては、発生から数時間持続し、地上からの放射熱の放出を封じてしまう。こうして発生する飛行機雲は、航空による地球温暖化への影響の約35%を占めるという研究論文がある。
湿気の高い層を避けて飛行すれば飛行機雲の発生を防げる。
そこで、Google Researchの研究者らは、Breakthrough Energyによるオープンソースの飛行機雲モデル、膨大な衛星画像とAIと使って、飛行機雲が発生する可能性が最も高い場所を予測する方法を開発した。
まず、米海洋大気庁(NOAA)の静止気象衛星GOES-16の何万枚もの衛星画像から飛行機雲を見つけてラベル付けし、そのデータでコンピュータビジョンモデルをトレーニングすることで衛星画像内の飛行機雲を検出。さらに気象データと飛行データを追加することで、飛行機雲がいつどこに形成されるかを予測するモデルを完成させた。
アメリカン航空のパイロットは、6カ月にわたって70回のテスト飛行でこのマップを試した。その結果、これらのテスト飛行では飛行機雲の発生が54%減少した。
アメリカン航空は、「この最初の実証ポイントは少数の飛行ではあるものの、民間航空機が飛行機雲の発生を確実に回避できることを示している。この成功を再現して拡大できるかどうかを判断するには追加の調査が必要だ」と語った。
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