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初音ミク(16)、16周年を迎える 誇張なく世界を変えた歌姫のこれまで(1/3 ページ)

» 2023年08月31日 13時20分 公開
[谷井将人ITmedia]

 歌声合成ソフト「VOCALOID」用音声ライブラリ「初音ミク」が8月31日で発売16周年を迎えた。“歌う機械”ひいてはDTMの歴史を変えたといって本当に過言ではない彼女について、今回はITmedia NEWSの過去記事を見ながらその歴史を振り返ってみる。

photo 2007年からずっと一線級

今の中学生は全員初音ミク登場時には生まれてもない

 初音ミクはクリプトン・フューチャー・メディアが2007年8月31日に発売した音楽ソフト。楽譜を入力するとかわいい歌声が出力される。23年をもって年齢設定と同じ「16歳」を迎えた。今の中学生以下はまだ生まれてもいない。

 時代背景でいうと、この少し前に初代iPhoneが登場している。「解像度320×480ピクセル」に時代を感じる。iPhoneはそろそろ15が出そうという話だが、ミクは今も初代のVOCALOID2版が販売されているし、動作する。

<関連記事:萌えボイスで自作曲を歌ってくれる「初音ミク」(2007年9月3日)

 発売から2週間未満で3000本近くを売り上げ、1000本売れれば大ヒットとされていた当時の音楽制作ソフト市場において驚異的な数字をたたき出した。

<関連記事:異例の売れ行き「初音ミク」 「ニコ動」で広がる音楽作りのすそ野(2007年9月12日)

 ニコニコ動画が始まったのもこの年。これはミクとニコニコ動画の両方にとってとても幸運なことだっただろう。誰でも歌モノ動画を作れるようになり、それを発表する場もある。VOCALOIDキャラはすでにいたが、初音ミクが大きくすそ野を広げたのは確かだ。当時の記事によれば9月18日までにミクの関連動画は800件も投稿されたという。最近の歌声合成キャラでも1カ月で1000件動画が投稿されることは多くない。

 初音ミクは往年のDTMerの創作意欲を掘り起こし、新規参入者を大量に引き込んだ。高速歌唱や超高音歌唱など、人間ではできない表現も模索された。「描いてみた」や「踊ってみた」「歌ってみた」などの二次創作文化も加速していった。

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