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初音ミク(16)、16周年を迎える 誇張なく世界を変えた歌姫のこれまで(2/3 ページ)

» 2023年08月31日 13時20分 公開
[谷井将人ITmedia]

オタクのおもちゃ時代 

 このころは創作活動が大いに刺激された反面、世間の冷ややかな目にもさらされた。当時は「検索結果に初音ミクが表示されない」と騒ぎになった。

 Yahoo!JAPANやGoogleでミクを検索しても適切に表示されない状態だった。表示できるのはgoo、MSN、livedoorの画像検索など。これらは疑念が残るものの、「意図的な削除はしていない」との結論に至った。

<関連記事:「初音ミク」画像がネットから“消えた”?(2007年10月18日)

photo Yahoo!JAPANで「初音ミク」を検索した様子(2007年10月)

 これと同時期に起きていたのがTBS系列の番組「アッコにおまかせ」での初音ミク特集の“炎上”だ。ミクが流行していることを紹介する内容だったのだが、そこに登場したアルバイト暮らしのミクユーザーに対して「ふーん、ご立派ですねえ」とナレーションがついたのが問題視された。

<関連記事:TBS「アッコにおまかせ」の初音ミク特集に批判相次ぐ(2007年10月15日)

 そもそも「オタク」への風当たりがまだ強かった部分もあっただろうが、ネット掲示板には「ひどい」「オタクを叩いて視聴率稼ぎという魂胆が見え見え」「若いオタク叩きに利用されただけ(安全に叩けますから)」といった批判もあったという。

 また、比較的近年まで「ボカロ曲差別」のような現象も報告されており、「学校の放送でボカロ曲を流してほしいとリクエストしたが、ボカロ曲だからという理由で却下された」のような話もよく聞いた。

アーティストとしてトップレベルの活躍

 そんな時代もありながら、VOCALOID業界はどんどん活発化していった。キャラクター音源の発売数は右肩上がりに増え、07年には3本だったのが11年には11本、15年には19本までになった。

 メジャー進出もどんどん増え、11年には米Googleのグローバルコマーシャルソング曲「Tell Your World」が世界で話題になった。

 バンド「BUMP OF CHICKEN」も14年リリースのアルバム収録曲「ray」でミクとコラボしており、賛否両論を巻き起こした。

 ユーザーが作った楽曲が漫画になり、トヨタのコマーシャルソングソングになり、日本武道館や幕張メッセでライブが開かれ、ミクがアニメに登場し、メジャーアルバムが発売され、歌舞伎舞台に出演し、セガがゲームを作り、ミクに触発された歌声合成キャラが生まれた。ちなみにミクは「最も人気なコスプレキャラ」としてギネス世界記録になっていたりもする。

初音ミク「マジカルミライ 2015」in 日本武道館
photo 超歌舞伎2023powered byNTT
photo ゲーム「初音ミク Project DIVA Future Tone」
photo ゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」

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