「小説ドラゴンクエストV」作者の久美沙織さんが、2019年公開の映画「DRAGON QUEST YOUR STORY」で主人公の名前「リュカ」や公的な呼び掛けを無断で改変・使用されたとしてスクウェア・エニックスや東宝を訴えていた裁判で、東京地裁は10月20日、原告の請求を棄却した。久美さんは自身のX(旧Twitter)アカウントで「私の請求は棄却されました。敗訴です」とポストした。
小説ドラゴンクエストVは、エニックス(当時)の人気ゲーム「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」(1992年発売)を原案として久美さんが執筆し、1993年に発売した。原作ゲームは名前をユーザーがつける仕様のため、久美さんは主人の名前「リュカ」や公的な呼び掛け「リュケイロム・エル・ケル・グランバニア」を創作した。
一方のDRAGON QUEST YOUR STORYは、2019年に劇場公開した3DCGによるアニメーション映画。同じくドラクエVから派生した作品で、主人公の名前は「リュカ・エル・ケル・グランバニア」だった。
映画公開前にそれを知った久美さんは、クレジットでリュカの名前が小説ドラゴンクエストV由来であると明示することなどを求めたが、スクウェア・エニックス法務部は名前には著作権がないとして拒絶。さらに「不法な要求をするなら反訴を覚悟するようにと、ほとんど脅しのような」(久美さん)返答があったという。
その後、久美さんはクラウドファンディングで費用を募り、映画の製作委員会やスクウェア・エニックスなどを提訴。今年7月には東京地方裁判所に提出した陳述書を自身のnoteで公開し、「大きな組織がそちらの論理と業績とちからで小さな個人をバカにして踏みにじることは、法の精神からいっても、もっとも忌むべきことではないでしょうか」などと訴えていた。
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