【パリ=板東和正】イスラエル軍とイスラム原理主義組織ハマスの大規模戦闘が続く中、親パレスチナや親ロシア、親イランのハッカー集団がイスラエルへのサイバー攻撃を強めている。攻撃の対象はイスラエルの自衛権を支持する欧米諸国や、イスラエルとサイバー協力を進める日本にも拡大。サイバー空間上の攻防が紛争の激化につながる恐れも懸念されている。
「核爆弾が来るぞ」
欧州メディアによると、ハマスが10月7日にイスラエルへの攻撃を開始した直後、イスラエルのミサイル警報配信アプリ「レッドアラート」に偽の警告通知が相次ぎ表示された。偽の警報を送り付けたのは、親パレスチナのハッカー集団「アノンゴースト」。同集団は100万人以上が利用するアプリの脆弱性をついたサイバー攻撃を仕掛けた。イスラエルの航空機予約サイトや国防軍が使用するアプリもハッキングしたと主張した。
イスラエルのセキュリティー企業「チェックポイント」などの情報では、イスラエルへのサイバー攻撃は10月18日時点で戦闘開始前と比べ18%増加。イスラエル政府や軍へのサイバー攻撃の件数は52%増えた。
親露系や親イラン系のハッカー集団もイスラエルへのサイバー攻撃に加担している。ハマスの攻撃開始以降、ウクライナや同国の支援国を攻撃していた親露の「キルネット」や「アノニマススーダン」が「イスラエル政府の全てのシステムを攻撃する」などと宣言。イスラエル英字紙エルサレム・ポストのサイトがダウンするなどした。イラン系のハッカーもネットで偽情報を流す情報工作をイスラエルに仕掛けているとされる。70を超えるハッカー集団がイスラエルに攻撃を仕掛けているとの情報もあり、欧州のサイバー専門家は「戦闘が長引けばさらに攻撃に参加するハッカーは増える」とみている。
イスラエルを支援するハッカー集団もハマスのWebサイトなどを攻撃しており、サイバー空間は乱戦の様相だ。
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