それら見直しが進むことで、NTT法は役割を終えることから必然的に廃止される……というのがNTT側の見解である。だがそうしたNTTの姿勢に猛反発しているのが、KDDIやソフトバンク、楽天モバイルといった競合の通信事業者や、ケーブルテレビなどの地域通信事業者、一部自治体など180者。これら180者は2023年10月19日、NTT法の廃止に反対する要望書を自民党や総務省に提出している。
反発する理由はNTT、ひいてはNTT東西が“特別な資産”を持つためだ。NTT東西が持つ公社時代に整備したインフラの多くは、いわば“国のお金”で整備されたもの。競合らの説明によると、各省庁のWebサイトなどから算出した設備投資額は25兆円、現在の貨幣価値では40兆円に上るとのことで、民間企業には構築が難しい規模だという。
それだけ圧倒的な資産を持つにもかかわらず、なし崩し的にNTT法が廃止されてしまえばNTTに対する規制がなくなり、非常に多くの問題が起きるというのがNTT法の廃止に反対する理由となっている。中でも競合が最も懸念しているのは、NTTグループの再統合であろう。
元国営のNTTは事業規模が非常に規模が大きかったことから、通信市場競争加速のため政府が分離・分割を進めた経緯がある。実際1988年にNTTデータ、1992年にNTTドコモを分社化しており、1999年にはNTT自体が現在のNTTとNTT東西、そしてNTTコミュニケーションズの4社に分割されている。それゆえNTT法にもNTT東西の業務範囲やNTTグループの合併認可に関する規定が盛り込まれており、自由に再統合統合できないようになっている。
だがNTTは2020年、電気通信事業法の禁止規定がないことなどを理由に、突如何の議論もなくNTTドコモの完全子会社化を打ち出した。
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