NTTドコモは国内シェア最大の携帯電話会社とはいえ、近年はシェアが低下しており、最近ではネットワーク品質の低下が指摘されるなど、競合にとって圧倒的脅威というわけではない。であればなぜNTTドコモの完全子会社化を競合が問題視するのかというと、NTTグループが再統合して再び巨大化する動きと捉えられたからだ。
それに加えてNTTグループの統合に関する制約を設けたNTT法がなくなったとなれば、NTTグループの統合がより現実味を帯びてくる。NTT東西は“特別な資産”を用いて整備した光ファイバー網で固定ブロードバンドでは圧倒的シェアを持ち、競合が携帯電話基地局などを整備するのにもNTT東西のネットワークを使わざるを得ない状況にある。それだけにもしNTTグループが再統合したとなれば、例えばNTTドコモに優遇してネットワークを提供するなどして公正な競争が成り立たなくなる可能性も出てくる。
もちろんNTT東西に対しては、光ファイバーを競合にも公正に貸し出すよう電気通信事業法で規定されているが、これはNTT東西を具体的に指名している訳ではなく、あくまでシェアが50%を超える事業者に対する規定だ。それゆえ競合側は、NTT側が子会社に資産を移すなどしていかようにもシェアを変え、規定を有名無実化できることから、再統合を防ぐためにはNTT法による規制の維持が必要だとしている。
また固定電話のユニバーサルサービス提供義務に関しても、NTT法では「あまねく義務」、つまり撤退できないことが規定されている一方、電気通信事業法ではその担保がなされていないという。電気通信事業法に固定電話のユニバーサルサービス提供義務を移せば不採算エリアでの撤退が容易になり、利用者が不利益を被るとしてやはりNTT法による義務の維持を求めている。
そして外資に対する規制に関しても、競合側はNTTの“特別な資産”は他の通信会社と同列に扱えるものではないと主張。外為法による規制は海外からの投資を促進している日本の政策と合わないとし、NTT法による規制がNTTを守るために最も有効だと競合側は主張している。
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