いわゆる「SaaS for SaaS」(SaaSのためのSaaS)の中でも「SaaS管理ツール」に注目。主要3社のSaaS管理ツールについて、ビジネスモデルや開発思想の違いを探る。
コロナ禍は世界中で様々な変化を引き起こしたが、SaaS業界においてはプラスとなる側面もあった。在宅勤務の増加を受けて、ビデオ会議システム「Zoom」などの需要は急増。新しい働き方に対応するために多くの企業が様々なSaaSの導入を進めた。
緊急事態の意思決定だったため、ここ2年は管理体制などが後回しで進んできた。しかし、世の中が正常化しつつある中では、各社の情報システム部門(以下「情シス」)が多数のSaaSやデバイスの管理業務に向き合わざるを得なくなってきている。
企業の情報セキュリティは、信用する領域(社内)と信用しない領域(社外)との間に境界を設け、企業が守るべき情報資産とユーザー・端末を信用する境界内部において管理する「境界防御モデル」が長らく採用されてきた。この場合の情シスの役割は、境界となる壁を設け、外部からの侵害を防ぐことを主としており、ファイアウォールやVPN、プロキシサーバなどが代表的なソリューションだ。
一方で、近年はクラウドサービスが普及し、モバイル端末の活用や在宅勤務などの働き方の多様化によって、境界(社内・社外)そのものが曖昧になりつつある。これにより、自社で情報システムネットワークを構築するのではなく、既にあるSaaS、PaaSなどの外部クラウドサービスの利用を前提としたセキュリティ対策が求められるようになってきている。
そこで注目された「ゼロトラストモデル」は、社内外関係なく誰がどのデバイスからアクセスしたかのログをリアルタイムに収集・検証し、都度認証を必要とするセキュリティ体制であり、多くの企業の情シスがこの変化に対応していかなければならない。
情報セキュリティは企業にとって非常に重要な問題であり、本来であれば何年もかけて慎重に検討を重ねてから、移行を進めるべきものだ。しかし、コロナという緊急事態においてなし崩し的にいくつものSaaSが導入されたり、暫定的に在宅勤務が許可されたりしてきた面もある。この急激に変化する環境の中で、効率的にSaaSアカウントやデバイスの管理を行うことができるソリューションへのニーズは一気に高まった。
そのような状況の中で創業されたのが、今回取り上げるジョーシスである。
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