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「スマホ買うなら12月26日まで!」とショップが声高に叫ぶワケ 27日スタートの“新しい割引規制”とは?房野麻子の「モバイル新時代」(2/2 ページ)

» 2023年12月22日 18時00分 公開
[房野麻子ITmedia]
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国は中古スマホの流通促進 でもその中古はどこから来るの?

 総務省の「日々の生活をより豊かにするためのモバイル市場競争促進プラン」では、この割引上限規制のほかに、不適正な営業を行っていると判断された販売代理店に対する「MNOによる代理店の指導強化」「通信・端末分離規制の基準値の引き上げ」も年内に省令を改正するとしている。

総務省の「日々の生活をより豊かにするためのモバイル市場競争促進プラン」概要

 このうち、通信・端末分離規制の基準値の引き上げというのは、規制対象となる独立系MVNOのシェアを、0.7%から4%に引き上げることだ。従来はIIJmioを展開するインターネットイニシアティブ(IIJ)とmineoを展開するオプテージが、MNOと同じ通信と端末の分離規制、つまり割引上限の規制や継続利用割引規制などの対象事業者となっていた。しかし、法改正で規制対象はシェアが4%以上の事業者となったため、IIJとオプテージは規制対象から外れることになった。

 IIJやオプテージはサービス内容に定評のあるMVNOで、端末ラインアップも充実している。規制対象から外れたことで、今後、大胆な端末割引を行う可能性もある。お得にスマホを買いたい人はIIJmioやmineoに注目するといいかもしれない。

 なお、競争促進プランで物議を醸したのが、端末流通市場の活性化のために取り組む「中古端末の安心・安全な流通の促進」だ。「国が中古端末を推奨するのか?」「OSアップデートされない中古端末を使えというのか」といった違和感や疑問を持った人も多かったようだ。

 端末割引の上限を4万4000円まで引き上げることで、端末メーカーやキャリアに多少配慮した形になっているが、前述の通り、端末が買いやすくなるとは必ずしもいえない。

 12月27日以降は、それまでの反動で新品端末の買い控えが起こる可能性もある。新品端末が買われなければ中古市場に流れる端末も減っていく。端末市場の活性化を促進するなら、新品端末の流通促進に取り組むことも重要だ。今回の割引上限規制の改正によって、新品端末の価格や流通がどう変わっていくのか見守りたい。

 一方、スマホの機能進化が落ち着き、端末寿命が長くなった現在、中古端末を選ぶ人が増加しているのは確かだ。そのため、ユーザーが安心して中古スマホを使える環境を整備することは理にかなっている。

 現在でも、外観からは分からないバッテリー性能を明示している中古端末事業者は多いが、今後はOSアップデート対象から外れた端末を分かるようにする、今後対応が予定される非常時の事業者間ローミングに対応している端末かどうかを分かるようにする、なども含めて中古端末事業者は安全安心に関するさまざまな取り組みが必要になるだろう。

 22日の競争ルールの検証に関するWGでは、中古端末事業者からなる団体、リユース・モバイル・ジャパンが、割賦の支払いが滞った端末に対してキャリアが端末を利用できなくする「ネットワーク利用制限」についての問題点を指摘していた。これは大きな問題だ。こちらの議論も注目していきたい。

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