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被害の9割が「Appleギフトカード」 電子マネーだまし取る特殊詐欺が過去最多 

» 2023年12月25日 10時13分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 全国の警察で2023年1〜11月に認知した特殊詐欺被害のうち、電子マネーを購入させてだまし取る手口が過去最多となったことが、警察庁のまとめで分かった。特に2月から「Appleギフトカード」の悪用が急増。9月以降は被害の9割を超えており、警察庁は被害防止に向け、関係企業との協議を始めている。

 電子マネーはAppleだけでなく、AmazonやGoogle、任天堂など、多数の企業が導入している。特殊詐欺ではコンビニなどで電子マネーのカードを購入させ、カードに書かれた番号を電話で聞き取ったり、写真を送らせたりする手口が横行している。

 レジでの決済が終われば、この番号だけで購入額分の電子マネーとして、さまざまなサービスに利用できる。1件当たりは上限額があるため被害額は大きくならないものの、振り込みやATMでの引き出しなどを省略することで、詐欺グループにとって足がつきにくくなる特徴があるとみられる。

 警察庁によると、電子マネーを使った特殊詐欺被害の認知件数は、統計を取り始めた2016年には1264件、被害額は約7億6千万円だった。17年に2888件、約15億4千万円とピークを迎え、その後、落ち着きを見せていたが、23年は1〜11月だけで3055件、約18億6千万円と急増した。

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 使われた電子マネーの種類別にみると、未遂の8件を除いた全3047件の内、Appleギフトカードが使われた被害が1980件と突出。2月から急に増え、9月以降はほぼAppleギフトだけが使われている。警察庁の担当者は「Appleギフトカードは、電子マネーでスマートフォンやタブレット端末などApple製品を購入できるため、転売して現金化しやすいと犯人グループに思われているのではないか」と推測する。

 警察庁はApple社に加え、家電量販店やコンビニなど電子マネーを購入できる店の運営会社などと協議を始めており、被害防止に向けた協力を呼び掛けている。

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