行政手続きの現場から、フロッピーディスク(FD)やCD−ROMが名実ともに消える。経済産業省はこのほど、申請や届け出をする際にFDなど特定の記録媒体の使用を定める34の省令を改正したと公表。政府は6月までに、同様の規定を見直すことを目指しており、行政手続きのオンライン化加速への一歩となりそうだ。
経産省の1月22日の発表によると、鉱業法施行規則や採石法施行規則などを昨年12月にまとめて改正した。FDやCD−ROMなど、具体的な媒体による提出を規定する省令について、媒体名を削除したり、「電磁的記録媒体」のような抽象的な表現に変更したりしたという。
FDは1980年代から2000年代半ばにかけ、PCの主要な記録媒体などとして利用されていたが、「近年は使う事業者を見かけることはない」(経産省関係者)といい、現実に即した内容に改めた。
併せて文書の作成や保存に関する規定についても、クラウドサービスの利用を認めることを明文化した。これまでも利用は許容されていたが、必ずしも明確ではなかったという。
該当する省令をまとめて改正した事例はこれが初めて。他の省庁でも今後、同様の動きが広がる見通しだ。
政府のデジタル臨時行政調査会(臨調)が2022年12月、「アナログ規制」撤廃に向けた工程表をまとめた。それによると、見直しの対象は法律や政省令計9669件。このうち約2割がFDなどの記録媒体提出を求める行政手続き関連だった。24年6月までの完了を目指している。(米沢文)
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