この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「「ポスト量子暗号アライアンス」をAWS、Google、NVIDIA、シスコ、IBMらが設立。ポスト量子暗号の採用促進のため」(2024年2月16日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
米AWS、米Google、米NVIDIA、米Cisco、米IBMをプレミアメンバーとする「Post-Quantum Cryptography Alliance」(ポスト量子暗号アライアンス)がLinux Foundation傘下で設立されました。
ポスト量子暗号とは、量子コンピュータによる暗号解読攻撃に耐性があると期待されるアルゴリズムを採用した暗号のことです。
量子力学を利用した量子コンピュータは、ある種の計算に関して従来のコンピュータとは比較にならないほど劇的な計算能力を有するため、その計算能力を暗号解読に用いることで現在利用されている暗号は短時間で解読されてしまう可能性が高いと考えられています。
そのため今後も安全な暗号化通信などを行うためには、量子コンピュータが本格的な実用に入る前に量子コンピュータをもってしても解読が困難な、量子コンピュータへの耐性を備えた暗号アルゴリズムの開発と普及が求められています。
今回設立された「Post-Quantum Cryptography Alliance」は、そうしたポスト量子暗号の採用を促進するために、ポスト量子暗号アルゴリズムの標準化や実装などを行っていく団体です。
現時点でPost-Quantum Cryptography Allianceでは2つのプロジェクトに取り組むことが示されています。
1つ目は「Open Quantum Safe」として、量子コンピュータ耐性のある暗号の実装を開発するためのプロトタイピングのためのプロジェクト。もう1つは「PQ Code Package」として、標準化されたポスト量子暗号アルゴリズムの高保証実装の作成や保守を行うプロジェクトです。
Post-Quantum Cryptography AllianceはGitHubにもリポジトリを公開し、広く組織や個人の参加や協力を訴えています。
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