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フリーランスになって初の「確定申告」やってみた “SaaSで申告”は楽にできるのか?(前編)(1/3 ページ)

» 2024年02月26日 16時30分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 確定申告の季節がやってきた。筆者はこれまでも、ふるさと納税や医療費控除などのために毎年確定申告をやってきたが、今回は一味違う。2023年夏に、勤め先であったアイティメディア社を退職してフリーランスとなったからだ。

 会社員の確定申告は、メインの収入である給与の税金が源泉徴収(会社が収めている)されているため、ふるさと納税とか医療費控除とか住宅ローン減税とか配当控除とか外国税額控除とか、”控除”ばっかりだ。要するに確定申告を行うと課税所得が減るので、税金が還付される(戻ってくる)。

 ところがフリーランスになったら、自分で税金を計算して申告しなくてはならない。わざわざ計算して税務署に確定申告書を送って、さらに税金を払う。そしてこれが間違っていたら、税務署から怒られる。会社員にとっては確定申告は面倒だけどお金が戻ってくるもの。ところがフリーランスにとっては、お金を払うために事務作業をしなくてはいけないのだから、そりゃこの季節になるとどんよりとした表情の同業者が多いのも分かる。

 さて今回の原稿の趣旨は、この面倒なフリーランスの確定申告を、いかに手間なく簡単に、かつお得になるようにやってみたという実体験をお伝えすることだ。確定申告に関係するSaaSは毎年進化している。こうしたSaaSを存分に活用してトライしてみよう。

青色申告特別控除を使って65万円控除を目指す

 まずは”お得”な点からチェックしていこう。税金の計算は、収入から経費を引いた所得に対し、さまざまな”控除”を引いて、課税所得を出す。この課税所得に対して税金がかかる。これが基本だ。

 そのため、払う税金を減らしたければ、収入を下げるか経費を増やすか控除を増やすことになる。でも収入を減らしたら本末転倒だし、収入を隠して申告すればそれは脱税だ。経費については、共済や保険を使ったり家事按分を適切に行ったり、いろいろな方法があるが、こういうオプション的な内容は今回はパス。節税の基本は、いかに使える控除を見つけてきて、それを適用するかにある。

 さてこの控除だが、フリーランスには「青色申告特別控除」という大き目な控除がある。これは、確定申告の種類の一つ「青色申告」を行うと、最大で65万円、所得から控除してくれるという制度だ。年間所得(収入から経費を引いたもの)が500万円だったとすると、65万円を控除して課税所得は435万円に減る。この数字が小さくなれば払う税金も少なくできる仕組みだ。

青色申告でも3種類あり、さらに控除なしの白色申告もある。白色申告は非常に簡単だといわれるが、青色申告には控除だけでなくさまざまな税務上の特典がある(マネーフォワードより) 

 今回はこの「65万円控除」を目指すのだが、そのためにはいくつもの条件がある。

  • 青色申告承認申請書を提出
  • 複式簿記で貸借対照表と損益計算書を提出する
  • 電子申告を行う

 これらをクリアするために、さまざまなSaaSを活用していこうというわけだ。

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