国が保有する経済安保情報の取り扱いを有資格者に限定する「セキュリティー・クリアランス」(SC)制度の創設を盛り込んだ新法案「重要経済安保情報保護・活用法案」が2月27日に閣議決定された。SCの重要性を認識する防衛関連事業を展開する企業を中心に、法整備を歓迎する声は多い。
NECは制度があることで、海外企業と共同開発できる機会の拡大を期待する。SCの資格があれば、学術的なコミュニティーに参加できるメリットもある。逆に「SCがなければ、情報がオープンにならず、開発を進めにくいという側面がある」(同社関係者)という。
三菱重工業は軍事転用が可能な民生技術の獲得競争が激化し、サイバー攻撃の頻度が増していることに危機感を強めている。経済・技術の分野でも保全すべき情報を指定し、厳格に管理する必要性を感じている。同社は今後の具体的な動向を注視し、適切な対応を取る方針だ。
三菱電機もSCを歓迎する。国際情勢が不透明で複雑になる中、経済安保のルールや政策形成に向けた産官学の緊密な連携が重要になるとみているためだ。法整備で、こうした場の形成が容易になることを期待する。経済安保を担当する日下部聡常務執行役は「資格保持者が内外で広く活躍できるように簡素・明確・国際標準の3点を押さえてほしい」と要望する。
一方、企業からは資格保持者の身辺調査が必要となるため、プライバシーの侵害を懸念する声もある。また、誰が資格保持者なのかといった情報が漏洩することを心配する声も出ている。(黄金崎元)
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