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NTT西のずさんな情報管理体質 社長辞任も信頼回復の道のり険し

» 2024年03月01日 12時52分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 NTT西日本の子会社で勤務していた元派遣社員が、個人情報約928万件を不正に持ち出した問題は、親会社であるNTT西の森林正彰社長の辞任という事態にまで発展した。ただNTT西グループは現在も、情報流出の被害を受けた顧客との間で損害賠償などの交渉を続けている。会見では、グループ内の情報セキュリティーに対する意識の甘さが次々と露呈し、利用者からの信頼回復の道すじは、容易には見いだせない。

 「(顧客情報を扱う)責任者の約3割は、情報の管理が不十分な形でなされていると思っている」「それでも、全体の約2割は、不正な情報流出は起こりえないと考えていた」

photo 会見するNTT西日本の森林正彰社長(右から2人目)ら=29日午後、大阪市都島区(山田耕一撮影)

 会見で公表されたNTT西がグループ全体を対象に行った緊急アンケートの内容は、グループ内における情報セキュリティーへの認識の甘さを鮮明に浮かび上がらせた。

 2022年6月に就任したばかりの森林社長は、過去10年間も続いてきたという今回の情報流出の責任を取る形で辞任する。しかし、今回浮き彫りになった、日本を代表する通信会社の中核であるNTT西のずさんさは、役員の退任だけで解決に至るものでは決してない。

 会見では、22年4月に顧客から情報流出の可能性が指摘されたとき、「子会社の4人の社員によって調査が行われたが、いくつもの虚偽回答を行っていた」(同席した弁護士)実態も明らかにされた。

 森林氏は、この時点で問題を把握できなかったことを「本当に悔やまれる」と語ったが、嘘をついて不正を隠そうとする悪質さは、根深いものを感じさせる。

 NTTグループは、2025年大阪・関西万博で通信インフラなどを担う予定で、NTT西はその中心的な役割を担う。今回の問題は、そのような取り組みに対しても、強い疑念を招きかねない。(黒川信雄)

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