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電力、ひっ迫に備えは データセンター拡大、様変わりの13年 東日本大震災13年

» 2024年03月12日 18時21分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 東日本大震災から3月11日で13年が経過した。東京電力福島第1原発事故の影響で、原発の稼働が滞る中、太陽光発電など再生可能エネルギーへの依存度は増している。ただ天候要因に左右されやすい特徴から、夏や冬に電力が逼迫する状況が発生し、政府も新増設も含めた原発の活用へと方針を転換させた。一方で需要が少ない時期には発電量が過剰となり、発電を一時的に止める「出力制御」という新たな課題も全国で広がっている。

photo 成田空港へ向かうスカイライナーの脇に整然と並ぶソーラーパネル=2023年12月6日、千葉県印西市(川口良介撮影)

 福島の事故以降、日本はエネルギーを主に火力発電に依存する構造となった。ただ世界的に脱炭素化の流れが進む中、電力各社などによる火力発電への新規投資は鈍化。その分、再エネへの投資は広がったが、猛暑に見舞われた2022年夏には電力不足が深刻化。その結果、原発の依存度低減を掲げてきた政府も、「最大限活用」する方針へと転換させた。

 一方で震災後に急拡大した太陽光発電などの再エネは近年、過剰な発電量も問題となっている。

 電気は需給が一致しないと周波数が乱れ、停電を起こす恐れがある。春や秋の電力需要が少ない時期に、晴天で太陽光発電の出力が大きいと発生するリスクが高まるとされ、火力や再エネの発電を止める「出力制御」を行っているのだ。

 再エネの出力制御は増加しており23年度は大都市圏の関西電力、中部電力管内でも行われ、前年度の約2倍の260回を超えている。

 国は2030年の総発電量の38%を再生エネでまかなう計画だが、そうなれば出力制御がさらに増える可能性もある。九州電力は23年10、11月に太陽光の発電量が増える昼間に電気を実質無料で提供する「タイムセール」を実施するなど、電力各社が需要の平準化対策を進めるが、限界もある。国も余剰電力の行き先として、蓄電池の整備など対策を重ねるが、追いついていないのが実態だ。

 ChatGPTに代表されるAIの活用などデジタル化の進展で、電力需要が増加するとの想定もある中、安定した電力の確保と、需給のバランスをどうとっていくかが、引き続き課題として残されている。(織田淳嗣)

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