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「気持ち悪い」異質さにSNS熱狂 TBSアニメ「勇気爆発バーンブレイバーン」(1/2 ページ)

» 2024年03月14日 19時51分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 木曜深夜に異変が起きている。1月に新設されたTBSのアニメ枠(毎週木曜午後11時56分)で放送中のロボットアニメ「勇気爆発バーンブレイバーン」がSNSを中心に大人気だ。近未来を舞台に宇宙からの侵略者と戦う主人公とロボットという王道の設定だが、放送後になぜか視聴者が毎週のように「気持ち悪い」と大喜び。そのネガティブな単語には明らかに愛情や感嘆が込められており、屈折した反響の大きさに制作側も驚いている。

令和のロボットアニメ

 陸上自衛隊の主人公、イサミ(鈴木崚汰)が、人型ロボットのブレイバーン(鈴村健一)の協力を得て、米軍のスミス(阿座上洋平)とともに侵略者と戦う。ロボットアニメを多く手掛けてきた大張正己監督のもと、丁寧な構成、美しい作画、鮮やかな演出で、従来のアニメファンのみならず、幅広い視聴者から高い評価を得ている。

photo 第9話から、イサミ(左)とスミス
photo キービジュアルは、昭和から受け継がれてきたロボットアニメの因子を令和にブラッシュアップした

 制作するサイゲームスピクチャーズの竹中信広社長(42)は「令和のロボットアニメを作りたかった」と胸を張る。企画は5年前から。コロナ禍を挟んだこともあり、「世の中に光り差すような明るい作品を」と願って、「主人公の成長」「男の友情」「勇気」を描く骨太の物語を目指した。

 ただ、「情報があふれ、エンターテインメントにあふれている令和の世の中で」、勇気がテーマの巨大ロボットにはリアリティーと新鮮味がない。視聴者に受け入れられるかたちを考えたとき、第1話では現実と地続きのミリタリーな世界観を描いたうえで、それとは水と油の「ブレイバーン」を地球の危機に華々しく登場させる。そのギャップ、あえて「異質さ」を楽しんでもらおうとした。

キャッチーな愛情表現

 大当たりだった。事前情報を絞っていたこともあり、シビアな現実を切り裂くようにして現れた、往年のスーパーロボットを彷彿とさせる「ブレイバーン」の爽快感に視聴者は熱狂。放送後にはXのトレンド首位に。現在に至るまで、快進撃は続いている。

 一方、序盤からブレイバーンがイサミに対して、理解不能なほど熱烈な好意を示したことで、その「異質さ」が「気持ち悪さ」として受け止められた。「クセになる」「知らない人から一方的に思いを寄せられるのって迷惑なんだな」などの感想が並び、「気持ち悪い」は最もキャッチーなファンからの愛情表現に近いワードとなった。竹中社長は「『異質さ』を描いて『気持ち悪い』といわれるのは予想外だった」と困惑気味だ。

photo ブレイバーンの造形について、竹中信広社長は「僕の中で何かの作品を意識したことはない」と話す。「作り手の意識の中で今まで脈々と受け継がれている」ものが発露した

 「異質さ」を描くにあたり、決して笑いだけを求めて「ふざけているわけではない」という。熱烈な好意の理由と同じく、視聴者を驚かせたイサミとスミスが上半身裸で手を重ねるエンディングテーマの演出も含めて、全てに意味があるといい、「最終話まで見てもらえれば、分かってもらえるはず。それを知った前後で全く印象が変わる」と説明する。

 「勇気爆発バーンブレイバーン」について、TBSアニメ事業部の渡辺信也部長に話を聞いた。

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