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トランプ氏、SNS会社上場で富豪入り 特製聖書も販売、なお選挙資金は苦戦

» 2024年03月28日 16時00分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 【ワシントン=坂本一之】11月の米大統領選で返り咲きを目指す共和党のトランプ前大統領が、関連企業の上場で巨額の資産を手に入れた。自身を巡る裁判で巨額の支出に追われるトランプ氏にとって大きな助けとなったが、手元の選挙資金では民主党のバイデン大統領に差をつけられ、トランプ陣営は特製聖書などのグッズ販売や献金確保に奔走している。

 トランプ氏が創設したソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」の運営企業は26日、「特別買収目的会社」(SPAC)と合併する形で米証券取引所のナスダックに株式を上場。同氏は株式の約6割を保有するとされ、資産価値は40億ドル(約6100億円)超となった。米ブルームバーグ通信は今回の株式を含めたトランプ氏の資産合計が65億ドルとなり、「世界の富豪500人の仲間入りを果たした」と報じている。

 ただ、今回の株式は規制で半年間は売却が禁じられる。資産額は膨れ上がったトランプ氏だが、すぐに保有株を売って選挙資金に回すことはできない。米CNNテレビによると、トランプ陣営の手元の政治資金(2月末時点)は3350万ドル。これに対しバイデン陣営は2倍超の7100万ドルを確保していて、トランプ氏は苦しい状況だ。

 選挙戦では広告や遊説に多額の資金が必要となる。特に僅差の戦いとなる接戦州では、政治への関心が薄い有権者の掘り起こしなどで資金力がものをいう。

 トランプ陣営はロゴ入りの衣類やマグカップなどで異なるデザインを取り入れて販売。最近は支持層に多い敬虔(けいけん)なキリスト教徒らをにらみ、特製の聖書を1冊59.99ドル(約9000円)で発売した。

 トランプ氏は動画で5ドルや10ドルといった小口献金も呼び掛けるなど、資金確保に注力している。11月の本選を前に軍資金を使い果たせば勢いを失いかねず、陣営にとって大きな課題だ。

 一方で朗報もあった。トランプ氏が一族企業の不正で支払いを命じられた民事訴訟を巡り、控訴に必要な保証金が当初の4億5000万ドル余りから1億7500万ドルに減額された。

 それでも、刑事事件を含む多額の訴訟費用が負担となっている厳しい台所事情に変わりない。本選に向けた選挙戦が正式にスタートする7月の共和党大会前後で資金繰りが悪化すれば、重要なアピール機会を逃すことにもなりかねない。

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