徳島県教育委員会が県立高校などに導入したタブレット端末3500台以上が故障し、授業などに支障を来した事態を巡り、端末を調達した四電工(香川県高松市)は3月29日、問題の原因が学校の保管環境にあったのではないかとする調査結果を発表した。
徳島県教委は2023年10月、高校などに手配した約1万5000台のWindowsタブレットのうち3500台以上が故障したと公表。授業に支障が出たとして謝罪していた。製造元は中国Chuwiで、対象の端末は「UBook」シリーズのタブレット。暑さにより7月ごろから、バッテリーが膨張するなどの異常が起きていたという。
タブレットを納入した四電工は12月に3500台の端末を無償付与すると発表。3月29日、調査結果の発表と共に付与が完了したと明かした。一方、故障について調査結果では「UBookの製品の不良によるものではないと認識している」との見方を示している。
四電工は根拠として第三者である検査会社によるいくつかの調査結果を挙げている。検査会社はまず、正常品の充電・放電の制御について調査。この検査では「タブレットの充放電制御に問題はなく、機器の充放電条件に起因した膨れの発生ではないものと考えられた」という。
次に、膨張したUBookの調査では「バッテリー膨張は電解液のガス化が要因。電解液のガス化は、使用環境や保管環境で大きく促進されるため、保管環境(夏休み、冬休みなどの休校のため、空調管理がされていない状態の充電や、直射日光があたる状態での充電)などの加速因子が重なったことで、発生したと推察される」との結果が出た。
さらに新品のUBookの電池を解析したところ、不具合品とほぼ同一だったことから、検査会社は「日常生活とは異なる保管環境などで使用が続く場合、電解液のガス化などの劣化が、顕著になる可能性が示唆された」としている。検査会社は以上の結果から「製造上の不良品ではないと考えられる」と報告したという。
また、学校側の端末保存環境について四電工が2月に調査したところ、バッテリー膨張の直接的な原因は特定できなかったとしつつ「一部の充電保管庫で充電タイマーが外されるなど、輪番充電がうまく機能していないと考えられる状態にあるものも認められた」「学校でのヒアリングなどから、夏休みや夏休み以外の日常でも持ち帰りを行っていない学校では膨張率が顕著に高い傾向にあることが認められた」としている。
四電工は一連の調査結果から「学校の充電保管庫の中で長期間にわたって保管された状態であったことが本件バッテリー膨張につながったのではないか」「猛暑であった23年夏季にバッテリー膨張が多発したことからも、夏休み中などの保管環境が加速因子として影響したものと推察できる」と結論付けた。
このため、タブレット端末の製品不良は認められず、リコールの対象にはならないとの見解を示している。調査結果は徳島県教委にも提出済みだという。
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