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Microsoft、中国のAIによる選挙操作を具体例で再警告

» 2024年04月07日 07時58分 公開
[ITmedia]

 米Microsoftは4月4日(現地時間)、中国が地政学的利益を高めるために世界の有権者の分断化を実験し、AIコンテンツを強化していると公式ブログで警告した。

 Microsoftによると、中国はSNSの偽アカウントで既に分断化してるテーマに関するアンケートを行い、分断を助長し、米国、韓国、インドなどで年内に予定されている選挙の結果に有利な影響を与える可能性があるという。

 同社の脅威分析センター(MTAC)は同日公開した報告書(PDF)で、こうしたコンテンツがユーザーに与える影響は依然として低いが、コンテンツを増強する実験が増えており、将来的には効果的になる可能性があるとしている。

 中国は既に、Microsoftが「Storm 1376」と呼ぶグループを使って、1月の台湾総統選挙でAIによる偽情報キャンペーンを実施したという。例えば、11月に出馬を取りやめたテリー・ゴウ氏が別の候補者を支持する偽の音声がYouTubeに投稿され(YouTubeがすぐに削除した)たが、これをAIで生成した可能性が高いという。中国政府が支持しないウィリアム・ライ氏についても、ライ氏が資金横領したなどの根拠のないうわさをAIで生成して拡散させたという(最終的には当選した)。

 taiwan テリー・ゴウ氏の偽動画(左)、ウィリアム・ライ氏に関する偽投稿(画像:Microsoft)

 Storm 1376はこの他、米国や日本の評価を落とす可能性のある出来事に「日和見的に飛びつき」、AIによる偽情報を流したという。

 例えば、処理済み放射性廃水(ALPS処理水)を太平洋に流すという日本政府の決定について、これは米国が水の覇権を維持するために他国の水を意図的に汚染していると非難する多言語によるキャンペーンを展開したとしている。

 alps 日本によるALPS処理水の海洋放出に関するAIで生成したとみられるコンテンツ(画像:Microsoft)

 Microsoftは、世界的な選挙イヤーとなる2024年に、中国が自国の利益を図るためにAI生成コンテンツの活用を強化すると警告する。

 同社は昨年11月にも世界の選挙をディープフェイクなどの攻撃から守るための取り組みを発表している。

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