投資広告の配信元を分析すると、約65%に当たる910個のアカウントには日本語が含まれていなかった。配信元のほとんどは使い捨てのアカウントとみられ、大半を占める英語の他に韓国語やベトナム語、タイ語のアカウントもあった。
日本語名のアカウントでは、堀江氏と森永氏に関連するものが18個で最も多く、村上氏が16個だった。日本語が含まれるアカウントにも、「前澤 友乍」といった横倍角の文字が使われたものや、「堀江文の投資ルール」のように一部が中国簡体字の不自然なものもあった。著名人だけでなく、企業もなりすましの被害に遭っており、SBI証券関連の31個を筆頭に、「産経新聞 1」という産経新聞の偽のアカウントも見つかった。
全体の約57%に当たる広告は登場する著名人の名前を除いてほぼ同じ内容で、「日本の文化庁は円の暴落、悪性のインフレを防ぐため増税を延期すべきと述べた」という趣旨の文言が書かれていた。しかし、文化庁は文脈に合っておらず、広告の出稿者は日本語を十分に理解していない可能性がある。
Facebookの広告については、2016年の米大統領選でロシアが選挙介入のために使用したと指摘されている。Metaは出稿された広告を公開することで透明性を確保する一方、明らかななりすましの広告が多く見つかっているのが現状だ。
前沢氏はMetaに対して訴訟を起こすとしているが、個人での対応には限界があり、政府に対してITプラットフォームに対する広告規制の強化を求めている。欧州連合(EU)は、Metaのターゲティング広告に対して厳しい規制を課している。
IT大手のGoogleは3月、2023年にAI(人工知能)も活用し、55億件の不適切な広告を削除したと発表した。Metaも大規模言語モデル「Llama」を無料公開するなどAI技術で業界をリードする存在であり、同様の対応をとることは技術的に可能とみられる。
調査はMetaの広告ライブラリを使い、24年に日本で配信された「投資」という言葉を含む日本語の広告を対象に行った。日本語形態素解析システム「MeCab」を用いて広告から名詞を抽出し、それを基にフルネームで登場する著名人のランキングを作成した。広告は同じ内容のものを時期や配信先の年齢や地域を分けて出したり、クリックされやすいように画像や動画を微調整したりしたものを個別に数えている。広告の数は表示回数の多さと必ずしも一致しない。数字は4月11日正午時点。
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