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アニメみたいな“勇者ロボ”、お台場に見参! 遠隔操作も可、開発の意図は【写真あり】(1/2 ページ)

» 2024年05月24日 13時00分 公開
[石井徹ITmedia]

 東京都が4月27日から5月26日までお台場地区で開催している技術展示イベント「Sushi Tech Tokyo 2024」(スシテック)。小池百合子都知事が「未来のテクノロジーが楽しめる」とうたう同イベントでは、大小さまざまなロボットやモビリティーが展示されている。その中でも目を引くのが「勇者ファイバリオン」だ。

 勇者ファイバリオンは、アニメの世界から飛び出してきたかのような“勇者型ロボット”。まだ体の一部しか完成していないが、4輪の乗り物形態から、体長2.5mの人型ロボットに変形する──ようになる予定だ。

photo アニメから出てきたかのようないでたち

 両手部分は遠隔操作が可能。操作者が手袋を装着して手を動かすと、ロボットハンドが人の手のように連動して動く。5月4日〜6日には、遠隔操縦を行うデモンストレーションも実施した。

 スシテックの会場では、操作用のアームはロボットから1m程度の距離に置かれていたが、東京に置いたロボットを大阪から操作することも可能という。

photo ロボットハンドのハードウェアは医療機器メーカーの尾路医科器械製

 手元だけでなく、口元(唇)も人間のように滑らかに動く。会場では数十秒ごとに「私は勇者ロボ、ファイバリオンです」といった言葉を発して、来場者の注目を集めていた。

しゃべる様子

 ファイバリオンを開発しているのは同人サークルの勇者技術研究所だ。2018年から開発を行い、各地のイベントで展示している。代表の石田賢司さんによるとサークルは「メカ、ソフト、デザイン」という3人のメンバーで始まった。デザイナーの「アニメのように見た目がかっこいいロボットを作りたい」というアイデアがきっかけだった。

 石田さんは「今現実に作られている人型ロボットは、いわゆるロボットアニメ的な見た目ではなく、製造側の都合優先でデザインが後付けされるようなものが多いという感覚がある。そうではないものをやりたいという思いがあった」と話す。

 現時点で上半身と基礎構造フレームのみが実装されている。2024年末には立ち上がれるようになり、2025年末にはモビリティー形態に変身し、人型で立って歩けるようなロボットにする──という将来像を描いている。

photo スシテックの展示では膝立ちの姿勢だった
photo 横から見ると、モビリティへの変形機構がどのように実装されるのかイメージできる

 将来的にはホビーカーとして、販売する計画もある。1人乗りの4輪ミニカーとして公道を走行できて、着いた先で二足歩行ロボットに自動変形する製品を目指している。価格は現時点では未定だが、3000万円を超える見込みという。

 一方で、ファイバリオンの開発で培った技術を別の形で応用する構想も描いている。ロボットを屋外で動かすために、アクチュエーターや制御系システム、バッテリーシステムは雨風や寒暖差など環境の変化に耐えられるように設計している。その開発で培った要素技術を、ロボットを開発する企業に販売する計画だ。

 石田さんは次のように展望を話してくれた。「今のロボット開発は専門家でないと、まず形になるものが作れない。そこで部品を提供して、例えばAI系の企業やWebサービスを手掛ける企業が気軽にいろいろなロボットを作れるようにする。すると、専門家が思い付かないような新しい発想の製品が生まれると期待している」

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