欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は7月11日(現地時間)、米AppleのApple Payに関する予備的見解に対するAppleからの提案を受け入れ、4年間の捜査を終了したと発表した。Appleはこの件に関しては数百億ドルの独禁法違反の罰金を免れた。
欧州委員会は、Appleが欧州圏で「tap and go(日本でのタッチ決済)」で使うNFC技術をサードパーティ開発者に開放し、Face ID認証などのiOS機能へのアクセスを可能にするという「法的拘束力のある」約束をしたと発表した。
Appleはまた、ユーザーがサードパーティのウォレットをデフォルトの支払いアプリに設定できるようにするなどの条件にも同意した。この約束には10年間の拘束力がある。
欧州委員会は2020年にApple Payに関する独禁法調査を開始し、2022年にAppleが「支配的地位を乱用した」という予備的見解を発表した。
Appleは今年1月、サードパーティへのNFCとモバイルウォレット技術へのアクセスを提供すると提案した(リンク先はPDF)。
欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー上級副委員長は「欧州委員会はAppleが提示した約束を受け入れることを決定した。これらの約束は、AppleがiPhoneのモバイルウォレットに関して違法に競争を制限した可能性があるというわれわれの当初の懸念に対処するものだ」と語った。
欧州委員会は昨年9月、Appleを独占的なデジタルプラットフォームを運営する「ゲートキーパー」と定めた。App Store、iOS、iPadOS、Safariでゲートキーパーになっているとしている。
欧州委員会は3月、Apple Payの件とは別に、AppleがApp Storeで支配的地位を乱用したとして同社に18億ユーロ以上の制裁金を科すと発表した(Appleは控訴)。
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