ソニー・インタラクティブエンタテインメントが、9月11日に家庭用ゲーム機の上位モデル「PlayStation 5 Pro」(PS5 Pro)を発表した。通常モデルに比べパフォーマンスが向上した一方で、価格は11万9980円と手ごろといえない値段に。Xの日本人ユーザーからは「高すぎ」という声が相次ぎ、「約12万円」など価格を取り上げたワードが同日未明から日本のトレンドに入っている。
PS5 Proは11月7日発売予定。特徴は大きく分けて「GPUのアップグレード」「進化したレイトレーシング機能の追加」「AIによる解像感向上」の3点だ。GPUは通常モデルに比べ、コンピュートユニットの数が67%増加し、GPUメモリも28%高速化。ゲームプレイ時のレンダリング速度は最大で45%向上するという。
レイトレーシング機能については、通常モデルに比べて2〜3倍の速度で光線を投射できるようになったとしている。新機能として、AIの力で映像を鮮明にする「PlayStation スペクトルスーパーレゾリューション」や、対応するゲームのパフォーマンスを向上・安定させるた「PS5 Proゲームブースト」も搭載する。
しかしSNSの反応は芳しくない。新機能・性能への反応は少なく「買う気がしない」「12万円あればゲーミングPCを買う方が便利」など、価格に対する不満の声が目立つ。2日に通常モデルを値上げしたばかりなこともあって「6万円台でPlayStation 5が買えたのは奇跡だったんだなあ」とする声も見られた。
ここ数カ月で為替がやや円高に振れているにもかかわらず、日本円での価格が現在のレートを反映していないことも、不評の一因になっているようだ。ドルでの価格が699.99ドルなのに対し、日本円での税別価格は10万8000円程度。1ドル約155円の換算だ(11日午前11時半のレートは1ドル約141円)。前日に発表があった「iPhone 16」が1ドル約142円換算だったこともあり「割高感が強い」「日本市場を意識していない」とする声もあった。
上位モデルのため、通常モデルより高額なのは不自然ではない。新機能や注目タイトルの有無によっては“割高感”が薄まる可能性もあった。しかし通常モデルの値上げや為替の問題もあって、今回の発表では価格の印象を塗りつぶすには至らなかった──というのが現状だろう。
ただ、PlayStation関連ソフト自体は盛り上がっている傾向にあるし、今後も注目タイトルがいくつかある。例えば6日発売のPlayStation 5専用ゲーム「アストロボット」はレビューサイトやSNSで評価が高く、国内外のゲームメディアや業界団体による表彰企画で「今年のゲーム(Game Of The Year)」に選ばれる有力候補とされている。
2025年には「モンスターハンター」シリーズ新作の「モンスターハンターワイルズ」も発売予定だ。こちらは独占タイトルではないが、より良いパフォーマンスで遊びたいという需要が発生するゲームではあるだろう(いずれもPS5 Proゲームブーストの対象になるかは不明だ)。
一方、任天堂がすでにNintendo Switchの後継機種を予告しているというリスクもある。“新型Switch”とPS5 Proではニーズがかぶらない可能性も高いが、国内で割高な印象がさらに強まるきっかけとなる可能性もある。
実際、PS5 Proに言及する投稿の中では、Switchの後継機種に期待を寄せたり、Xboxシリーズに関心を向けたりするものもあった。競合との距離感や、国内外の注目タイトルが生み出すムーヴメントにうまく乗れるかどうかが、“前評判”を覆せるかどうかを左右しそうだ。
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