「本棚は人柄を表す」「読書をすれば人生が変わる」などとよくいわれる。実際、仕事で必要な知識や考え方を、読書を通して学ぶ人も多いだろう。とはいえ仕事で忙しい中では、成長や学びにつながる本を効率的に探すのは難しい。
そこで本連載では、今をときめくIT・Web関連企業の経営者の本棚や愛読書をのぞき見。現代社会で戦うIT経営者たちがどんな考え方に影響を受けているのか、ヒントを探る。今回は、SaaSやコンサルティング、インキュベーション事業を手掛けるリンクアンドモチベーション経営層の本棚や愛読書をのぞき見る。
※本文中のプロフィールは取り上げた企業が提供したもの、またはその企業公式サイトから引用したものです。
実家がお寺なのでさまざまな人と交流があり、また機械・材料エネルギー系の理系学生だったため、社会や人間の「メカニズム」に昔から興味がありました。そのため、社会システムや人間の感情に関する本を多く読んでいます。
また、ITエンジニアからキャリアをスタートしたので、デジタル・テクノロジー系の本も読みます。その他にも、R&D部門を見ていることもあり、スタートアップ企業のイノベーションに着目した本も好きです。
1つ目は「社会学入門: 人間と社会の未来」(見田宗介著)です、なかなか仕事がうまくいかずモチベーションが最低レベルのときに、現実逃避のために手に取った本です。社会学の教科書的な学びというよりも、著者の社会学に対する圧倒的な熱量と強い動機に背筋が伸び、気づいたら正座をしてしまうような本です。
漫画を読んで仕事へのモチベーションが高まることがありますが、同じ効能がこの本にはあります。同じ著者の「現代社会はどこに向かうか――高原の見晴らしを切り開くこと」という本も未来への手掛かりとしてお気に入りです。
2つ目は「組織戦略の考え方: 企業経営の健全性のために」(沼上幹著)。上記の社会学入門が、人間と社会の未来の可能性を明るく照らす本だとすると、こちらの本は人間の弱さを前提に、組織のリアリティーをこれでもかと突きつけてくる本です。
何もせず放っておくと組織は腐り、企業経営の健全性が損なわれるということが身にしみて理解できます。特に「第7章 トラの権力、キツネの権力」は必読です。組織論を骨格としたリアリティーのある描写に、楽観的と無思考は違うことを痛感させられる本です。
リンクアンドモチベーション執行役員、モチベーションエンジニアリング研究所所長。組織人事コンサルタントとして、大手企業向けの組織開発や人材開発に従事し、多くの顧客の組織変革を成功に導く。同時に、リンクアンドモチベーションの研究機関(R&D部門)「モチベーションエンジニアリング研究所」において、新商品の開発に従事。2015年、同研究所所長に就任。2022年より執行役員。
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