昔は技術書などが中心で勉強や、答え探しが目的でした。今振り返ると、楽をするために読んでいたとも言えます。今は、問題解決するためだったり、自分自身が思考をするために読むということが増えてきました。読書は物事を考える時間になっています。それに伴い、テーマごとの乱読と精読を組み合わせたり、人類史などの歴史や哲学から現状を捉え直したりなど、読み方も変わってきました。
1つ目は「世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方」(ドネラ・H・メドウズ著)です。物事の深層や構造を捉える重要性やその視点について書かれています。
「システムとは何か?」から、ストックやフロー、フィードバックループ、レジリエンスや自己組織化、「ヒエラルキーは素晴らしい発明」など、システム思考の基本から応用まで幅広く解説されています。たずさわる事業やソフトウェア、組織や各局面での意思決定などをシステムとして捉え直すきっかけを与えてくれました。
2つ目は「High Output Management」(アンドリュー・S・グローブ著)です。CEOやマネジャーに読み継がれる名著です。「マネジャーのアウトプット=自分の組織のアウトプット+自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット」「終点に行き着いてから10倍のエネルギーを注ぎ込んでも……」といったマネジリアルレバレッジの概念など原則的なことや、今でいう1on1、KPIなどについても分かりやすく書かれています。
序文では、起業家のベン・ホロウィッツさんが「そもそもどうやって会社をつくり、経営すればいいのか、ヒントになるような本も記事も全くない時代。優れた経営者はみな本書を読んでいたし、有名なVCは本をコピーして起業家達に配った伝説的な輝きを放つ本」としています。本書が書かれた1980年代前半は(著者が創業した)米IntelがDRAM市場で苦戦し、1985年にはDRAMからの撤退を決めるなど、業績面でも非常に厳しい時期です。その最中の「変化の中で生き残れよ!」というメッセージが詰まった本だと捉えて読むと勇気をもらえました。
リンクアンドモチベーション常務執行役員。大手IT企業へプログラマーとして新卒入社。その後 ベンチャー、スタートアップで役員として上場を経験したのち、2018年、株式会社リンクアンドモチベーションへ中途入社。現在はモチベーションクラウドシリーズのプロダクト開発責任者を務める。2022年、執行役員へ就任。
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