スタートアップにとっての悩みの種、資金調達。いわゆる“SaaSバブル”が崩れて以降、資金調達難に陥る企業も多く見られる。一方、政府が「スタートアップ5カ年計画」としてスタートアップの支援を掲げるなど、状況は大きく動いている。
資金集めが難しい局面では、当然それだけベンチャーキャピタル(VC)や銀行、投資家とのコミュニケーションの重要性も上がる。しかし、VCや投資家の考え方は広く共有されているものではなく、情報を集めにくい。
そこで、本連載ではVCなどスタートアップ投資に携わる人たちに、出資に当たっての考え方などをインタビュー。事業領域、指標、経営者の人柄……どんな部分に注目しているか聞く。
今回は、これまでラクスル、ビジョナル、アカツキなどに出資してきたリンクアンドモチベーションに取材。インキュベーション事業担当者である白木俊行さん(インキュベーション推進室 室長)に、投資に当たっての考え方を聞いた。
リンクアンドモチベーションはコンサルティング事業を祖業とする企業だが、2014年にはインキュベーション事業も開始。きっかけはリーマンショックだ。「コンサルティングは成長軌道に乗っているタイミングでしか投資の対象にならない」(白木さん)こともあり、ダウントレンドのときにこそできる組織支援の形を模索した結果、投資事業を始めるに至ったという。
ただしその目的は投資による利益だけではない。「株式を持ち、半ば一心同体となって歩む。せっかくであれば、未上場時の支援によって、その後素晴らしい組織になったという“組織の傑作”を作る」ことが事業の目的という。つまりはコンサルティング事業のブランディングを兼ねるわけだ。
そのためインキュベーション事業では「組織をテコに成長させていきたい企業」(白木さん)への投資を重視。投資ラウンドは絞っておらず、国内外の区別もしていないという。1社あたりの投資額は非公開。これまでの投資先企業は以下の通りだ。
白木さんは投資の基準について「この組織でグロースすると決めているかが必要条件」と話す。どういうことか。
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