14 Ultraは、アクセントになっている円形デザインの中に4つのカメラ(13mmの超広角、23mmの広角、75mm/120mmの望遠)を内蔵している。特筆すべきは23mmで、ソニーの最新1インチセンサー「LYT-900」と、F1.63〜F4までの可変絞りに対応した、「Summilux」名のレンズをあしらっている。また、超広角だけでなく75mmは10cm、120mmは30cmまで近づけるテレマクロ機能も特徴で、1ページ目に載せた水滴の作例はこのマクロ機能を使って撮影している。
では、14 Ultraのカメラの何が良かったか。シンプルに言えば「トーンの豊かさ」に尽きる。スマートフォンのカメラは、小さなセンサーを高度なISP&プロセッサパワーで駆動させる、画像処理の歴史でもある。HDRもそうで、ナイトモードなどの高感度撮影、ボケを再現するポートレートモードなど、画像処理でジワジワと本家カメラとの差を詰めてきた。しかし、まだ差があるとすれば“色作り”の分野で、ここは各カメラメーカーが長年かけて育ててきた部分でもある。
一時期の中国製スマートフォンのカメラは、かなり派手な色使いだった。初めて独Leicaとコラボしたスマホメーカーといえば中国Huawei。筆者も「P20 Pro」をメインスマホとして一時期使っていたが、スマホとは思えない写りの良さに感動した。しかしやはりビビッドさ、鮮やかさが先行していたように思う。豊かなトーンとは、鮮やかさとはまた違う、階調に余裕を感じさせるものだ。これを再現するには当時のセンサー/ISP/プロセッサは非力だったのかもしれない。
しかしキーパーツと実装が進化し、薄型ボディながら1インチセンサーを搭載できるまでになった。しかも14 Ultraが採用するLYTIAシリーズは、ダイナミックレンジが大幅に改善しており、一眼カメラに匹敵する14ストップのレンジを確保できるというのだから驚きだ。これにプロセッシングパワーや画像処理の進化と、Leicaとのコラボレーションによる色のノウハウが加わり、世代を増すごとに熟成が進んだ結果なのだろう。
14 Ultraには、Leicaの名前を冠したカラープロファイルとして「Leica Authentic Look」と「Leica Vibrant Look」の2つが選べるが、オススメはAuthentic Lookだ。落ち着いたトーンなのだが、色が素っ気ないというわけではなく、落ち着きながらも階調・色再現性に富んだ画が出てくる。
また、Authentic Lookには、フィルターのように色味を変えられる「Leica Image Look」が用意されている。モノクロからカラーフィルム調のものまで多くのプリセットがあり、モノクロだけでもシンプルなものから青みがかったものまで複数から選ぶことができる。被写体にハマればかなり印象的な写真が撮れ、「後からアプリでレタッチ」なんてことも考えなくて良い。
ただ、14 Ultraの写りには少しクセがある。夕方や夜、日陰、室内などの場合は露出を「マイナス0.7〜マイナス1」にしたほうが見た印象に近かった。デフォルトだとハイライトが飽和し、HDRっぽいアンダーの浮きが気になる。マイナス1にすると全体の露出は若干下がるが、黒浮きが大人しくなり、写真が締まって見える。
個人的にかなり気に入ったのが純正グリップ。シャッターボタンとズームレバー、露出などを調整できるダイヤルと、カメラに必要なものが一通り揃っており、タッチパネルに触らずとも操作できる。スリープ状態でも、シャッターボタンを長押しすればカメラアプリが即起動。シャッターチャンスにも強い。
ラバーが巻かれたグリップは手に馴染み、適度な厚みもあって持ちやすい。1世代前だがまだまだ現役「Snapdragon 8 Gen 3」のサクサク動作と相まって、シンプルに撮影が楽しい。筆者は普段横構図が多いが、不思議と14 Ultraは縦構図がスパスパ決まり、おかげで1ページ目のように縦ばかりの作例になってしまった。
本体とグリップはUSB Type-Cで接続し、ラッチをスライドすれば固定される。グリップにもUSB Type-Cポートがあるので、本体側のポートが塞がれていても両方に給電できる。グリップつけっぱなしでも運用しやすいのはありがたい。
グリップがセットになっている「Photography Kit」には、装着時に使う専用スマホケースも付属している。これも手が込んでいて、67mm径のねじ込み式フィルターを取り付けられるようになっている。NDでもC-PLでもなんでもござれ。レンズキャップも取り付けられる。
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