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Alphabet XのTaara、無線光通信の新チップ開発 指先サイズで10Gbps

» 2025年03月02日 08時18分 公開
[ITmedia]

 米Googleの親会社、Alphabetの“ムーンショット工場”XのTaaraプロジェクトは2月28日(現地時間)、光を使ってデータを高速に無線伝送する新たなチップを発表した。

 Taaraのチップは、シリコンフォトニクス技術を使用し、光を使って高速データを無線で伝送する。7年前に開発した「Taara Lightbridge」では、鏡、センサー、ハードウェアを使用して光のビームを物理的に操作しているが、新チップではソフトウェアでビームを制御、追跡、修正する。これにより、従来の交通信号機ほどの大きさだったLightbridgeの主要機能を、指先ほどのチップにまで小型化することに成功した。

 taaragm Taara Lightbridgeの前で新チップを紹介するTaaraトップ、マヘシュ・クリシュナスワミ氏

 新チップは、「ソリッドステートステアリング」を使用しており、ソフトウェア制御で光のビームを正確に操作できる。試作段階では、Taaraのチップ2つを使用して、屋外の1Kmの距離で10Gbpsのデータ伝送に成功した。

 taara 2 新チップのテスト

 この技術が実現すれば、ケーブル不要でコストも低いインターネット環境を構築できそうだ。具体的には、インターネットが利用しにくい地域への高速インターネット提供、データセンターの構築・運用方法の見直し、自動運転車のより高速で安全な通信などが可能になるとTaaraは説明する。

 データ通信の需要は急速に増加しているが、既存のインフラでは対応しきれなくなりつつある。光ファイバーはコストや地理的な制約から導入が難しい場合がある。また、従来の無線周波数帯域は混雑しており、5Gの拡張や高速通信の需要に対応することが困難になっている。Taaraの技術は、ほぼ無限の帯域幅を持つ光領域で動作し、これらの課題を解決することを目指しているという。

 Taaraの新チップを搭載した次期製品は2026年に発売予定。

 Taaraは、ケーブルなしで高速インターネット接続を提供することを目指すXのプロジェクト。米Appleや米Motorolaの幹部を経てXのProject Loonに取り組んできたマヘシュ・クリシュナスワミ氏が統括する。

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