米OpenAIと米Googleは3月13日(現地時間)にそれぞれ、ドナルド・トランプ米大統領が打ち出した「AI Action Plan」に対する提案書を提出した。
AI Action Planは、トランプ氏が1月23日に署名した、バイデン政権のAI政策の撤廃を命じる大統領令に基づき、米国がAIにおけるグローバルなリーダーシップを維持するために策定する一連の政策と戦略だ。
計画の策定は政権が主導するが、2月25日に政策アイデアを一般から募集するための情報提供依頼(Request for Information:RFI)が連邦官報サイトを通じて公開された。提案書の締め切りは3月15日。OpenAIとGoogleの提案書は、これを受けたものだ。
OpenAIは、2月に発表した「OpenAI's Economic Blueprint」(リンク先はPDF)と、今回トランプ政権のOSTP(科学技術政策室)に提出した提案書を通じて、AI Action Planに対する意見を表明した。
同社は、公共部門の理解と連携した民間セクターのビジョンとイノベーションが重要であると指摘し、連邦政府が州ごとの煩雑な規制を避け、AI産業の発展を促進するべきだと提言している。
この中で、中国の国家補助金や国家管理によるAI開発の進展と、それによるグローバルな影響力の拡大に言及。具体的な企業名は出していないが、LLM開発でOpenAIと競合する中国DeepSeekのことを指すとみられる。
米国は、これに対抗するために、自国のAI産業の競争力を高め、民主的な価値観に基づいたAI技術を推進していく必要があると強調した。
米国のAIモデルが著作権で保護された素材から学習する能力を維持することにより、米国民のAIから学習する自由を確保し、中国にAIの主導権を譲ることを防げるとしている。
一方、Googleの提案書は主に「AIへの投資」「政府によるAI導入の加速と近代化」「国際的なプロイノベーションアプローチの推進」の3つの主要な分野に焦点を当てており、具体的な政策提言というよりも、重点分野の課題提起と方向性の提示となっている。
OpenAIがイノベーションの自由を重視しているのに対し、Googleはイノベーションの促進を重視しつつも、リスク管理を考慮した上で、既存のセクター別規制の活用を重視する姿勢だ。
また、中国を名指しした言及はない。ただし、「外国によるAIへの制限的な障壁に対抗する」と提案している。
AI Action Planへの提案書は米Anthropicも6日に提出している。本稿執筆現在、米Microsoftは提出していない。
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