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最新の国産量子コンピュータを実機写真でチェック! 富士通と理研の本気は

» 2025年04月23日 17時00分 公開
[井上輝一ITmedia]

 富士通と理化学研究所が4月22日に発表した、256量子ビットの超伝導量子コンピュータ。商用に提供可能なものとしては量子ビット数で世界最大級をうたう。同日には記者向けにその実機や256量子ビットのチップもお披露目された。この記事では、写真を中心に256量子ビットマシンを紹介していく。

量子ビットチップはCPUと同じくらいのサイズ

256量子ビットチップ。実機に搭載されているものと同様のもの(撮影:井上輝一 以下同様)
256量子ビットチップ(左)と64量子ビットチップ(右)の大きさ比較

 256量子ビットマシンは理研の和光地区(埼玉県和光市)に設置され、これから6月までに稼働を始め、クラウド経由で企業や研究機関に提供される。

 お披露目された256量子ビットチップを拡大してよく見ると規則性があることが分かる。丸い部分が1つの量子ビットで、4量子ビットが基本単位となり繰り返し構造となっている。

人工衛星のような見た目の量子コンピュータ内部

256量子ビットマシンは理研の和光地区(埼玉県和光市)に設置される
記者向けの実機展示では周囲を暗くしてのライトアップも

 記者向けの実機展示では量子コンピュータの内部を観察できた。実際の稼働時にはシャンデリアのような部位が丸ごとカバーされ、その内部が冷やされる。特に量子ビットチップが収められた銀色の円筒部の内部は20ミリケルビン(ほぼ絶対零度)まで冷やされることになる。

シャンデリアのような部位の大半は量子ビットの微弱な信号を読み出すための増幅器や制御用配線、冷却設備

 設備の大きさは64量子ビットマシンからほぼ変わっていない。量子ビットは4倍になっているが、冷凍機内部の部材の調整や、熱を発する増幅器(量子ビットの微弱な信号を大きくするためのもの)の選定などで、従来機と同じサイズに収めることができた。

銀色の円筒形の中に量子ビットチップは収められている。稼働時には20ミリケルビン(ほぼ絶対零度)まで冷やされる。円筒部に隣接する銀色の直方体は増幅器
左隣には制御用エレクトロニクスの配線が大量にある。マイクロ波で量子ビットを制御する
右隣には直流電源デバイスが並ぶ
この部分も増幅器。量子ビットの信号は非常に微弱かつノイズもあるため、段階を経て信号を大きくしていく
中央部を冷却設備が貫く(その1)
中央部を冷却設備が貫く(その2)

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