イスラム教徒が大阪市内の神社に放火した上で「邪教だから」と供述した──。このように記された大阪府神社庁の文書がXで広がった。だが、現場とされた神社の宮司が6月16日、産経新聞の取材に応じ、境内で小学生によるボヤ騒ぎはあったものの「邪教」などの供述は「知らない」と否定した。府神社庁は神社からの報告を基に文書を作成したことを認めたが、「伝聞に相違があったかもしれない」と説明。再度、事実確認する意向を示しており、誤情報が拡散した可能性がある。
拡散したのは、府神社庁が各神社などに宛てた注意喚起の文書。大阪市内に実在する神社の名前を挙げた上で、6日夕に放火事件が起き、「犯人はイスラム教徒で『邪教だから火をつけた』と供述している」と記されていた。
これについてXでは、「多文化共生など無理な話」といった内容の投稿がみられる一方、デマだとして注意を呼びかける投稿もあった。
産経新聞が府神社庁に取材したところ、担当者はこの文書を発出したことは認めつつ、記載内容は「現場の宮司からの報告を基にしている。注意喚起のために文書を出した」と話した。
一方、事件が起きたとされる神社の宮司は取材に、6日夕に境内で複数の小学生がマッチで落ち葉などに火を付ける騒ぎがあったと説明。小学生の中には外国籍と思われる児童もおり、こうしたことも含めて府神社庁に報告したが、「邪教だとか、そういう話は一切していない」とし、府神社庁に訂正を求めるとした。
産経新聞が、こうした宮司の説明を受けて再び府神社庁に取材を申し込んだところ、担当者は「宮司への聞き取りの段階で伝聞に相違があったかもしれない。もう一度事実を確認するなどして対応を検討したい」と話した。
捜査関係者によると、6日にボヤ騒ぎがあったことは大阪府警も把握しているが、動機として宗教的な背景は確認されていないという。
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