しかし、一部では“不正出品=転売行為”と受け取っている人もいた。そのため、発売日当日に出品ページが相次いだことを受け、プラットフォームの対応を非難する声もあった。この点について林さんは「プレスリリースの通りではあるが、この協定は、例えば発売日前にもかかわらず商材を売るような未着詐欺などの不正出品を取り締まるためのものだった」と説明する。
そのため転売禁止自体を協定で結んだわけではなく、ヤフオクなどでの出品禁止措置はあくまでLINEヤフーが自主的に取った判断だ。
「結局、転売行為自体は違法ではないので、強制力を持って転売禁止にできるのかどうかはすごく難しい判断なのではないか。もちろん許容しているわけでもないと思うが、任天堂の意思によって全てを禁止するということは、なかなか難しい局面だと考えている」
今回の出品禁止措置についての意思決定は、林さんが行った。メルカリとラクマとは違う対応となったことについて聞くと「正直、すごく難しい課題だ」と林さん。出品を禁止にすることが正しいのか、自由に売買してもらうことこそ“自由な取引”ではないのか。林さんは「どちらが正しいか、言いづらい状況」とし、転売対策の難しさを話す。
「自社のような二次流通事業者の立場からすると当然、自由な取引は前提にあるべき。サービスのバランスをどのように取っていくのかは、各事業者が悩んでいる部分ではないか。何か一律の法律で決まったことがあるわけでもないため、どの解釈も正しいし、正しくないともいえる。そんな中で、それぞれのスタンスを示していく必要がある」
よく言われる“モノを大切に使う”という観点では、「不要になったものが、必要としている人のもとへ渡る」のは、環境負荷などの観点でも重要だ。「これこそがリユースサービスの本来あるべき体験」と林さんは指摘する。
スマートフォンの普及とともに、リユースサービスも今では多くの人の生活の中に浸透している。その環境を逆手に取り「一時的な買い占めによって供給量をコントロールし、より高値で売る」行為は、LINEヤフーでも問題視しており、その対策も検討中。この対策を考える上で一番難しい問題が“安定供給と一時的な希少性”の見定めだ。
例えばSwitch 2の場合、任天堂は今度も安定供給を目指して商品の製造を続けていく。いつかは“店頭でいつでも買える状況”となるため、現在の市場でのSwitch 2の希少性は一時的といえる。これはコロナ禍のマスクの例を見ても同様であり、いつかは安定供給されると予測できる。
一方、在庫数が決まった限定販売を掲げた商材の場合はそうではない。需要が高くなればなるほど、その希少性は上がり、供給が増えない限りは需要が下がる見通しは立てにくい。
このため現状では、市場の混乱を下げるためにSwitch 2のような“安定供給の見通しがつく商材”については世の中への影響度も鑑みて、出品禁止措置など適正な判断をしたいと林さん。一方、在庫数が限られた“安定供給の見通しが立たない商材”には、より慎重な意思決定をしたいとし「受注販売が新たに決まるなど、状況によって対応を考えなければならない。われわれだけで出品禁止の可否を決めるのは難しい」と続ける。
「モノの価値が上がるのか下がるのかは、その場面に直面しないと分からない。買い占めによって二次流通で高値が付くことで転売が課題視されることもある一方、商材によっては逆に値段が下がる可能性もある。“高値になったときだけが問題なのか”といわれると、その判断も簡単に下せない問題だと考えている」
Switch 2の発売から2週間がたったが、LINEヤフーでは出品禁止措置を継続している。
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