トランプ米大統領は8月6日、米国に輸入される半導体に約100%の関税を課す方針を示した。米国内で生産されていない、もしくは他国から輸入された全ての半導体に適用するという。
トランプ大統領は同日、記者に対し、米国内で製造中、もしくは製造を約束した企業には適用しない方針と述べた。ただし「何らかの理由で(米国内で)製造すると言っておきながらそうしなかった場合は、われわれは後日さかのぼって請求することになる」とした。なお、このコメントは関税に関する正式な発表でなく、それ以上の詳細は明らかにしなかった。
今回の施策によって、どの程度のチップが、あるいはどの国のチップが影響を受けるかは明らかになっていない。多数の米国企業にチップを製造している台湾TSMCは米国に工場を持っているため、同社の大口顧客である米NVIDIAなどが影響を受ける可能性は低い。
米投資顧問会社アネックス・ウェルス・マネジメントのチーフエコノミスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「米国で工場を建設できる資金力のある大企業が、最も恩恵を受けるだろう。最大手企業が生き残ることになる」との見方を示した。
米商務省によると、米国は2024年、世界の半導体チップの12%程度を生産したが、1990年の40%からは減少している。
今回を含む半導体関税は、中国をターゲットにしたものである可能性が高い。
米シンクタンクのピーターソン国際経済研究所の上級研究員マーティン・チョルゼンパ氏は「米国では半導体の製造に多額の投資が行われており、この領域(における関税は)多くが免除されるだろう」とした。一方で中国製のチップ、例えば中国SMICやHuawei製チップは免除の対象にならない見方を示した。
半導体製造国の韓国と日本、そして欧州連合は米国と貿易協定を結んでいるため、有利になる可能性がある。
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