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「植林など是正措置協議したい」 釧路湿原メガソーラー建設で一部工事中止勧告の事業者

» 2025年09月03日 10時43分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 北海道の釧路湿原国立公園(釧路市など)の周辺で進む大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設工事を巡り、道は9月2日、森林法に定められた知事の許可を得ず工事を進めているとして、大阪市中央区の事業者「日本エコロジー」に建設予定地の約2割に相当する森林区域0.86ヘクタールでの工事の中止を勧告した。勧告に強制力や罰則はないが、道などによると、同社は森林区域の工事を中止すると回答。敷地の残りは勧告対象外で、事業全体の行方が焦点となる。

photo 北海道の釧路湿原国立公園の周辺で進んでいるメガソーラーの建設(「猛禽類医学研究所」の斉藤慶輔代表提供動画から)

 同社は森林区域の造成工事をほぼ終えており、原状回復するか、知事の許可を申請する必要がある。取材に勧告を受けたことを認め、「植林などの是正措置を今後、道などと協議したい」としている。

 森林法では、太陽光発電所の設置を目的に0.5ヘクタールを超える森林を開発する際には都道府県知事の許可が必要となる。道によると、同社は敷地約4.3ヘクタールのうち森林開発の面積が約0.3ヘクタールとする事業計画を釧路市に提出し、知事の許可を申請せず工事を進めた。同社は森林開発の面積が申告より大きい経緯について、「錯誤だった」と説明しているという。

 建設現場で樹木がなぎ倒される動画を「猛禽(もうきん)類医学研究所」(同市)の斉藤慶輔代表が8月13日に公開。タンチョウなど生態系への悪影響を懸念する声が強まり、道と同市が29日に現地調査に踏み切り、森林開発の面積を計測した。同市の鶴間秀典市長は今月1日、環境省に対し、太陽光パネル設置を規制できるような法改正を要請。浅尾慶一郎環境相は2日の記者会見で「どのような対応ができるか検討したい」と述べた。

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