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クマ・森林保護団体に不正アクセス、個人情報流出の可能性 「破産手続き開始」の虚偽メール送信も

» 2025年09月05日 14時45分 公開
[ITmedia]

 クマや森の保護に取り組む一般社団法人「日本熊森協会」(兵庫県西宮市)は9月4日、利用するサーバが8月11日ごろに不正アクセスを受け、過去のメール履歴の一部が流出した可能性があると発表した。公式サイトが改ざんされた他、意図しないメールを送信され「破産手続きを開始した」とする虚偽情報が外部に発信される被害もあったという。

photo 日本熊森協会の公式Instagramより引用

 流出した可能性があるのは、13年10月25日以降のメール履歴の一部。対象には、会員の氏名、メールアドレス、住所、電話番号、クレジットカード名義(カタカナ)などが含まれていた可能性があるという。クレジットカード番号は保存しておらず、番号の流出はないとしている。協会によると、不正アクセスの影響で一時的にWebサイトの管理画面やメールシステムにアクセスできない状態が続いた。

 事態を受けて協会は、サーバ管理会社や外部の専門家と連携し、セキュリティ体制を全面的に強化したと発表。閲覧できない状態となっている公式Webサイトについては「復旧作業を進めている」としており、復旧までの間は公式Xの他、InstagramやFacebookなどのアカウント上で最新の情報を発信するという。

photo 公式Xのプロフィール欄でも状況を説明している

 協会は今回の不正アクセスを「厳粛に受け止め、深く反省する」とした上で、「『水源の森を守る』『人身被害等を防ぎながら野生動物と共存する』という使命を決して揺るがせにせず、これまで以上に真摯に活動を続けていく」とコメントした。

 今回の事案を巡っては、同協会が8月11日にInstagramの公式アカウント上で「当協会が破産手続きを開始した旨のメールが届いているが、そのような事実は一切ない」との声明を発表。メールが送信された経緯や原因について調査しており、警察にも相談していると明かしていた。

 20日には、同じくInstagram上で追加の注意喚起を投稿。一部の会員から「爆破予告を含む脅迫的な不審メールが届いた」との報告があったと明かした上で、引き続き調査を進めているとしていた。

 全国でクマによる人身被害が相次ぎ、自治体の駆除対応に対する抗議が社会問題化する中、同協会では7月下旬に「日本熊森協会が会員に抗議を促している」「抗議マニュアルを配布している」といった投稿がSNS上で拡散される事態も発生していた。

 協会はこれを受け、過去に意見提出を呼び掛けた事例があったことは認めつつ、「現在は行政機関の業務に支障をきたさないよう最大限の配慮をしている」と説明。SNSで拡散されたような行為は「一切行っていない」と否定した。また、誤情報を信じた人からの苦情対応に追われ、同協会の通常業務にも支障が出ていると明かしていた。

 日本熊森協会は、森林の保全やクマをはじめとした野生動物との共存を訴える自然保護団体で、会員数は約2万人。

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