あるスマホゲームのiOS版がバージョンアップを行ったところ、App Storeの審査に通らなくなるという騒動がありました。ゲームの配信自体が止まったわけではないのですが、iPhoneユーザーはイベントが延期されたり、機能制限を受けたりしているようです。
そのゲームは「ティンクルスターナイツ」(通称:クルスタ)。もとは2023年7月にリリースされたPC向けの美少女ゲームで、同年11月にiOSとAndroid向けのアプリ版も登場しました。ちなみに「ティンクルスターナイツX」というR18版もあります。
今回の件について、ティンクルスターナイツを運営するEXNOA(東京都港区)は「新バージョンで実装予定だった一部イラストやアニメーションなどのアセットについて、App Store側より問題の指摘を受けたために審査を通過できなかった」と明らかにしています。なにしろ美少女ゲームですから、おそらくセクシーな表現が問題になったのではないかと思います。
ここまでなら「よくあること」としてスルーしてしまうところですが、今回は個人的にすごく気になる点がありました。それは「リリース時から使っているすべてのイラストやアニメーションが修正対象になる可能性がある」と説明されていることです。
個人的に、キャラクターのデザインなどを後から修正した場合、元より魅力的になることは少ないと思っています。それは完成しているデザインに手を加えることは、往々にして蛇足だと思うからです。
実際、ティンクルスターナイツにおいてもR18版と全年齢対象版ではキャラクターデザインが異なるものがあるのですが、ボクは全年齢版のデザインには少し違和感をおぼえました。すでに世に出ているイラストの修正には、そうした問題がついて回ります。
何より、すでにOKをもらったデザインを数年後に直せと言われるのは、クリエイターにとっては結構キツイんじゃないかな……と、ボクは思ってしまいました。
時代の流れによって、表現できなくなるものが生まれるのは仕方がない面もあります。しかし今回のアプリはリリースから2年しか経っていませんし、前回までのバージョンアップは問題なかったわけで、唐突感は否めません。さらにいえば、同じ全年齢版のAndroidアプリはGoogleの審査を通っているのですから基準が分かりません。
今回の騒動は、EXNOA側の発表でしか状況が知らされていないため、App Store側の審査内容やその意図はうかがいしれません。しかしクリエイターの立場で考えると、今回起きていることは理不尽であり、今後も同じことが起きるのではないかと不安です。
Steamでのアダルトゲームの規制の件のように、偏った思想の団体や特定企業の思惑により、表現の自由が奪われるようなことにはならないでほしい。ボクは心からそう思います。
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