アサヒビールなどを傘下に持つアサヒグループホールディングス(HD)は11月27日、サイバー攻撃によるシステム障害に伴い、勝木敦志社長が東京都内で記者会見した。アサヒHDは2026年2月までに物流システムを復旧させ、商品の出荷を順次通常の状態に戻していく方針だ。ビールの需要が増える3〜4月の歓送迎会シーズンには間に合うものの、前年並みとはいかない。代替需要で他メーカーの受注は増えており、書き入れ時を逃すことの打撃は小さくない。
「(システムの)継続した監視の改善、追加のセキュリティ対策の強化を行い、再発防止と安全な運用維持に努めていく」。勝木敦志社長は27日、東京都内で開いた記者会見で、こう強調した。
アサヒHDは障害発生後、ビールや清涼飲料の注文を電話やファクスなど手作業で受けており、出荷量や品目数は通常時より少ない状態が続いている。13日に発表したグループの販売動向では、アサヒビールの10月販売実績(概算値)は売上金額が前年同月比1割未満の減少にとどまったとする。ただ、清涼飲料を扱うアサヒ飲料は4割程度、食品や粉ミルクなどを扱うアサヒグループ食品も3割程度の落ち込みを見せる。
歳暮商戦や忘年会、新年会と年末年始の需要期を前に、アサヒHDの出荷減の影響は他メーカーへの受注増という形で及ぶ。10月から商品を絞っていた歳暮用セットについてキリンビールは全ての販売を12月1日出荷分から停止し、サッポロビールも主力の「ヱビスビール」や「黒ラベル」の歳暮セット販売を中止して飲食店などへの安定供給を優先。ビール類の10月の販売実績はキリンが金額ベースで19%増、サッポロが販売数量ベースで13%増と伸ばしている。
来年2月の物流の正常化までは、システム障害発生から4〜5カ月程度かかる計算だ。年末年始の需要期を前に、飲食店などではアサヒから他メーカーに切り替える動きも進む。勝木氏は日本・東アジアでは一定のマイナス影響を受けているとし、「2025年通期の連結業績は悪化を避けられない」とする。それでも、会見に同席した、国内事業を統括するアサヒグループジャパンの浜田賢司社長は「(アサヒから他社への切り替えを)把握しているところは戻し、新しい得意先も開拓していく」と意気込んだ。(小島優)
【訂正:2025年11月28日午後1時20分】当初、復旧時期についてタイトル・本文で「2025年2月」と記載しておりましたが、転載作業時の誤りでした。正しくは「2026年2月」のため修正しました。
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