国際有人月探査プロジェクト「アルテミス計画」の宇宙船「オリオン」は日本時間4月7日朝、月の裏側に回り込んで最接近する。最接近から5分後には、1970年にアポロ13号が打ち立てた、人類が地球から最も遠方に到達した記録を更新する見通しだ。
米航空宇宙局(NASA)によると、オリオンは月の裏側を通過中の7日午前8時2分、月面に約6550kmまで最接近する。同7分には地球からの距離が約40万6800kmに達し、アポロ13号が記録した約40万170kmを6000km以上更新するとみられる。
今回の飛行は、月を一回りする一般的な月周回軌道ではなく、月の裏側に回り込んでから、そのまま地球に戻る軌道を採用した。月の重力を利用して進路を変えるため、正確に地球への帰還軌道に入るには、高度な制御技術が求められる。
そこでオリオンは、月に向かう途中で進路修正を重ね、月の重力圏に入る角度と速度を調整して月周回に臨む。特に月の裏側では、40分間ほど地球との通信が途絶えるため、不測の事態が発生しても地球からの遠隔操作による支援が見込めず、飛行士だけで対処する必要がある。
一方で乗組員は、月の裏側を飛行しながら約半世紀ぶりに人の目で月面の地形を観察し、撮影する。尾根や斜面、クレーターが浮かび上がれば、月への理解を深める材料となる。飛行士の生命維持や宇宙船の通信、航法などを人類未踏の距離で確かめることも、2028年以降に予定される有人月面着陸や、その後の火星探査に向けた大きな蓄積となる。(伊藤壽一郎)
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