米The New Yorker誌は4月6日(現地時間)、「Sam Altman May Control Our Future─Can He Be Trusted?」(サム・アルトマンは私たちの未来を支配するかもしれない──彼は信頼できるのか?)と題する長編記事を公開した。OpenAIが「Industrial Policy for the Intelligence Age」(知能時代の産業政策)と題する政策提言文書を発表したのは、その直後だった。
The New Yorkerの記事は、現在の従業員や元同僚、投資家、競合他社、アルトマン氏本人など100人近くへの直接のインタビューに基づいており、AI業界で最も強い影響力を持つアルトマン氏の性格と、その特異な経営手法について掘り下げている。
OpenAI社内で「The Blip」(一過性の出来事)と呼ばれる、アルトマン氏の突然のCEO解任と復帰劇についても詳しく紹介している。同氏が「コミュニケーションにおいて常に率直ではなかった」として取締役会から電撃的に解任されると、アルトマン氏は即座に自宅に「亡命政府」と呼ぶ対策本部を立ち上げ、強力な盟友やPRの専門家らの支援を受けて猛烈な反撃に転じた。従業員の大多数が彼に追従して辞職をほのめかす事態となり、会社崩壊の危機に直面した取締役会は追い詰められた。結果として、解任からわずか5日足らずでアルトマン氏はCEOへの復帰を果たし、彼に反旗を翻した取締役たちは事実上追放され、代わりに彼と親しい人物を中心とした新たな取締役会が形成されることとなった。
記事の中でアルトマン氏は、相反する利害を持つ人々を丸め込む比類のない説得力を持った人物として描かれている。同氏の支持者は、そのビジネスの才覚と、周囲を思い通りに動かす「ジェダイのマインドトリック」のような手腕を高く評価し、その行動を無邪気なまでの自己確信によるものだと擁護している。
一方で、アルトマン氏を解任しようとしたかつての同僚らは、同氏には「人を欺くパターン」があり、超知能(superintelligence)という人類の存亡に関わる技術を託すには危険だと警告している。ある元取締役は同氏は「人に好かれたいという強い願望と、人を欺くことによる結果への社会病質的ともいえる無関心さ」という、通常は1人の人間の中に共存しがたい2つの特徴を併せ持っていると指摘している。
こうした批判に対しアルトマン氏本人は、自身の行動が邪悪な「長期的な詐欺」などではなく、変化が極めて速いAI業界で状況に適応した結果の「通常の競争的なビジネス」に過ぎないと弁明している。また、過去には「争いを避けたがる」傾向があったことが批判の一因になったと説明しつつも、「自分の性格は変えられない」と語っている。The New Yorkerの報道は、これほどの権力を手にする人物に対し、業界の成長スピードに見合った透明性や説明責任が果たされているのかという、AI時代における根本的な問いを投げかけている。
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