日本の春を象徴する染井吉野(ソメイヨシノ)。温暖化の影響により、東京の開花日が過去100年で約2週間早くなったが、育成南限地の鹿児島では逆に遅くなっていた。桜が開花するのに必要とされる“低温刺激”の不足と開花異常について、岡山理科大学、森林総合研究所などの研究チームが分析した。
研究チームは、1965年から2024年にかけて鹿児島地方気象台で観察された満開日の記録と、休眠打破のための低温刺激の指標となる「積算チルユニット値」(cCU)との関係を分析した。すると鹿児島のcCUが低いと熊本より満開日が遅くなり、低温刺激不足によって開花が遅れていたことが確認された。
また、22年から24年にかけて鹿児島県内の9カ所で開花状態を観察したところ、cCUの値が1500を下回ると、開花遅れのみならず、個々の花の開花日がバラつき、生育不良による花芽落下もあって桜の木全体の花の数が減少。これにより、cCUが低いと「満開とならない」ことも示された。
研究チームは「低温刺激が不足すると、開花日や満開日が遅れるとともに、花芽の生育不良などの異常が観察され、観賞価値が大きく損なわれていることが明らかとなった」と指摘。将来の“お花見”のために暖冬の環境に適応した地元産サクラを育成するなどの対策が必要としている。
研究成果は、4月1日付で査読付き学術誌「International Journal of Biometeorology」でオンライン公開された。
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