先週のアクセスランキングには、SNS「BeReal」を通じた情報漏えいの記事が入った。西日本シティ銀行の行員が支店内でBeRealを投稿し、ホワイトボードに書かれた顧客7人の氏名が流出した、という事件だ。
BeRealは、1日1回ランダムなタイミングで通知が届き、その場で撮影・投稿するSNSだ。通知から2分以内に投稿すればボーナスとして当日の投稿可能数が増えるが、遅れても1日1回なら投稿できる。
筆者はこの事件をきっかけに、しばらく放置していたBeRealを再開した。きっかけが情報漏えい事件というのもどうかと思うが、久しぶりに触ってみて、面白いと感じたのだ。
改めて心に刺さったのは、カレンダーに表示される過去の投稿履歴だ。そこに残されていたのが、普段ならカメラを構えようとも思わない、ただの日常。
子どもの笑顔……ではなく、布団に寝転がってYouTubeを見ている後ろ頭。美味しそうなレストランの料理……ではなく、スーパーの398円の弁当。旅先のきれいな風景……ではなく、仕事中のキーボード。
そこにあったただの日常、まさに“リアル”が映っている。撮影時にインカメラも自動で起動するため、その日常を見ている自分の、何でもない顔も写っている。誰にも見せない日記のような、リアルな思い出がそこにある。
筆者は「Instagram」「X」などフォロワーがいるSNSや、家族SNS「みてね」などに写真をアップすることも多いが、これらは“他人に見せる用”。非日常のきれいな写真だ。子どもはこちらを向いて笑顔だし、料理は美味しそうに映っている。
BeRealに載っているのは真逆だ。外向けのSNSには載せられない、載せても仕方がないようなつまらない写真だが、それがいい。後から振り返る時、きれいに撮った非日常より、つまらない日常のほうが「あのころは毎日、こんな感じだったな」とリアルな記憶が蘇る。
BeRealは撮影時にインカメラが起動し、自撮りも同時に撮影されるため、日常を過ごす自分の表情も残っていて、それも思い出のよすがになる。
いま筆者の友人は誰もBeRealを使っておらず、完全に1人きりでやっている。SNSとして破綻しているが、自分専用の日記として、つまらない日常を、淡々と記録できる。結果的に“漏えいしようがない環境”で使うBeRealは、いいものだ。
自宅と公園、近所の道ぐらいしか写らない筆者のBeRealから漏えいするものがあるとすれば、夕飯の手抜き具合ぐらいである。それが漏えいしたところで、謝罪文を出す必要はない。たぶん。
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