生成AIの普及が進む中、新入社員の研修にAIを活用する企業が目立っている。アバター(分身)を相手に接客の練習をしたり、AIを使ったシステム開発を体験したりといったもので、導入企業は効率的・実践的な研修ができることなどをメリットとして挙げる。一方で企業はAIには誤回答などのリスクもあるとし、情報リテラシー(活用能力)教育にも力を入れる。
「こちらのお部屋をご案内できます」。4月下旬、ロイヤルホテルの「リーガロイヤルホテル大阪 ヴィニェット コレクション」(大阪市)の会議室に、同社の新入社員のはきはきとした声が響いていた。
AIを活用した新人研修で、新入社員のPCには、チェックインに訪れたという想定のアバターが登場。テーマは利用客の客室変更の要望などに応えるというもので、やりとりはAIが採点する。言葉遣いや聞き取りやすさ、表情も解析されるため、新入社員は笑顔の中に緊張感を漂わせながら対応していた。
同社は新入社員のフロント係などを対象に、AIによる接客ロールプレーイング(模擬訓練)を実施している。従来の接客研修は教育係の社員が付きっ切りで行う必要があったが、AI活用が現場の負担軽減につながっているという。同社の担当者は「電話応対や対面での接客に抵抗感がある若い世代に対し、現場で実践するまでのクッション(緩衝材)として非常に有効だ」と語る。
ビジネスの場面でAIが急激に普及していることから、より実践的な活用を学ばせる企業もある。
パナソニックHVAC&CCシステムズは、新入社員にAIを使った資料作成から発表までを4時間半で体験させる。同社は「AIを前提とした先進的な働き方や、企業文化の浸透につなげる狙いがある」と説明する。
一方で各企業は、AIが間違った回答をするハルシネーション(幻覚)の危険性などのリスクも認識している。
コクヨは「AIは新入社員に早く浸透させるべき必須スキル」としながらリテラシー研修も行う。サントリーホールディングスは「情報セキュリティーの観点から、業務情報を扱う際は社内環境の生成AIを利用するなどのルールを説明している」とした。
三井住友銀行の担当者は「お客さんや業務について考え抜くのはあくまでも自分自身。AIは業務の効率化・高度化のために利用するツールだ」と強調する。
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