特許庁「非常識な誤解」──任天堂のゲーム特許を拒絶、著作権巡り応酬(1/2 ページ)
任天堂とポケモン社が出願したゲームプログラム関連の特許について、特許庁が7月7日付で拒絶査定を出した。審査官は、2013年にYouTubeで公開されたファンメイドゲームの動画などを根拠に、一部の請求項に特許の要件である「進歩性」がないと判断。任天堂側は意見書で、動画がポケモンの著作権を侵害するゲームを映したものと反論したが、審査官は「引用発明における著作権侵害の有無は進歩性判断と無関係」と退けた。
出願内容は、タッチパネル操作で仮想空間内のプレイヤーキャラクターを動かし、捕獲用アイテムでフィールドのキャラクターを捕獲したり、所有するキャラクターをフィールドに出して戦わせたりするゲームプログラム。戦闘中と非戦闘時の双方で捕獲の成否を判定する仕組みなどを含む。
特許庁は4月21日付の拒絶理由通知書で、2013年公開のYouTube動画「Pokemon Generations - 3D indie Pokemon Gameplay」を引用。動画では捕獲・戦闘の仕組みを示しており、タッチ操作や戦闘中の捕獲なども既存資料との組み合わせで容易に想到できると判断した。
一方で任天堂側は6月11日付の意見書で、特許庁が引用した動画「ポケモンのゲームではなくポケモンの著作権を侵害するゲームの動画」だと主張。「Pokemon」「ポケモン」「サトシ」「ピカチュウ」「フシギダネ」「モンスターボール」などについても、「……を侵害するキャラクタ」と呼ぶべきだとし、「(審査官が)わざわざ侵害品を正規品のように誤った認定をしているのは極めて不適切」と反論した。
さらに、「発言されている機能の具体的技術的構成が客観的に開示されているとはいえない単なる現象を表示しているに過ぎないため、これらの事項が開示されているという審査官の認定は全て誤りである」と反論。投稿者の説明や画面上の現象だけではゲームの実装仕様を直接確認できず、実際に操作可能なゲームかも不明なため、「ゲームプログラム」の技術的開示として不十分だとした。
これに対し、審査官は拒絶査定で反論。特許法において「電気通信回線を通じて公衆に利用可能になった発明から、著作権を侵害するものを除外する規定はない」と指摘。審査基準にも、著作権侵害の有無が進歩性判断に影響するとの定めはなく、関連する最高裁判決や知財高裁大合議判決も存在しないとした。そのうえで、「引用発明における著作権侵害の有無は進歩性判断と無関係」と結論付けた。
拒絶理由通知書では、引用したゲームを正規品とも侵害品とも認定していないと説明。任天堂の「審査官が動画をポケモンの正規品ゲームのものと認めた」という意見について、「万が一、そのようなことを考える者がいたとしても、それは非常識な誤解というべきもの」と述べた。
キャラクター名を記載したのは、動画内に登場する複数のオブジェクトを区別し、拒絶理由を理解できるようにするためだとも説明。「ピカチュウ」を「黄色い小動物の姿をしたオブジェクト」、「サトシ」を「赤い帽子を身につけた少年の姿をしたオブジェクト」、「モンスターボール」を「上半分が赤色で下半分が白色の球体オブジェクト」などと言い換えても、進歩性判断には影響しないとした。
動画では技術的な仕組みが開示されていないとの主張も採用しなかった。審査官は、対象の発明が各オブジェクトの動作制御を主な構成としているため、画面遷移と投稿者の説明から「どのオブジェクトがどの動作を行うか」を比較可能な程度に把握できれば、引用例として十分だと判断した。
任天堂側はこのほか、「多数の文献から都合の良い部分のみを寄せ集めたいわゆる『後知恵』による論理展開」だと批判した。審査官は、発明の内容を知った状態で進歩性を判断する手法自体は、審査基準や知財高裁判決で認められているとして、この主張も退けた。
任天堂とポケモン社は24年、ポケットペア(東京都品川区)が開発するゲーム「パルワールド」を巡って特許侵害の訴訟を起こしている。今回拒絶通知が出された出願が訴えに関連するとの見方もある。
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